相続税で未収家賃を計上するには 支払期日と入金の確認例

マンションの住戸と管理資料を確認するイメージ

父のアパートで、死亡後に家賃が振り込まれた。すべて死亡後の収入にしてよいのか、死亡月分は日割りで相続財産へ入れるのか、通帳だけでは判断できません。

相続税では、死亡日に支払期日が来ていた家賃か、未入金だったかを契約ごとに確かめます。三室の仮定例で、未収債権、期日前、すでに預金になったお金を分けて整理します。

この記事でわかること
  • 死亡日と支払期日から未収家賃を分ける方法
  • 三室の家賃と預金の二重計上を防ぐ照合
  • 準確定申告と後日回収や回収不能の資料
目次

死亡日時点で支払期日が来ているかを契約ごとに調べる

手続きの期限を確認するカレンダーと資料

相続税の家賃債権を調べるときは、死亡日まで何日住んでいたかだけで日割り計算しません。契約上の支払期日が到来しているか、死亡日時点で未収なのかを確認します。

財産評価基本通達208は、課税時期に収入すべき期限が到来し、まだ収入していない家賃などを、その収入すべき金額で評価するとしています。「あとで入金されたか」より先に、死亡時の期日と入金状態を押さえます。

一方、国税庁は、毎月末が契約上明確な支払期日で、その月末に受け取ることが慣例となっており、過去の未収家賃もないという例について、月途中の死亡日までの既経過分を相続税の課税価格へ算入しなくて差し支えないとしています。

これは期日前の既経過家賃の取扱いです。期日を過ぎた滞納分や、契約の支払日がはっきりしないものまで、同じ理由で一覧から外してはいけません。

三室の家賃を未収債権と預金と期日前へ仕分ける

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

父が2026年9月20日に亡くなったとして、同じ建物の三室を比べます。いずれも月額10万円ですが、期日と入金は違います。甲・乙・丙は説明用の仮定で、実際の入居者の事情ではありません。

部屋と対象月契約上の期日9月20日の状態相続資料への整理
甲の8月分10万円8月31日未払い期日到来の未収家賃10万円を債権欄へ
乙の9月分10万円9月30日期日前。過去の未収なし上記Q&Aの前提を満たす場合、9月1〜20日分を別途日割り計上しない
丙の9月分10万円8月31日8月31日に入金済み未収家賃へ再計上せず死亡時の預金残高等へ対応

甲と乙は通帳に入っていない点では同じですが、死亡日に支払期日が来ているかが違います。家賃管理表の「未入金」という一列だけでは、相続税の計上額を決められません。

丙は受領済みの家賃が父の預金等に反映されているため、同じ10万円を未収家賃として加えると二重になります。預金の死亡日残高と入金明細を対応させてください。契約期日前に受け取った別の前受金がある場合は、丙の例へ機械的に入れず、契約と返還義務等を追加確認します。

賃貸借契約書の「当月末」「前月末」といった文言を部屋ごとに控え、契約を変更していないかも調べます。全室を代表的な一枚の契約条件で処理しないことが大切です。

準確定申告と後日回収を同じ明細へ対応させる

取引記録を保管するファイルと資料

甲の8月分が父の所得税の収入に入っていたとしても、それを理由に相続税の債権から外すわけではありません。父の所得税でいつ収入にするかと、死亡時に回収できていない家賃債権をどう評価するかは、別制度の確認です。

不動産所得の賃料は、支払日が定められていれば原則その日を基準に収入へ計上します。甲は8月31日の期日と父の帳簿を対応させ、所得税の準確定申告にどう反映したかを記録します。従前の申告で現金主義等の適法な特例を使っていた場合は、扱いを別に確認してください。

その甲の10万円が9月25日に入金されたなら、死亡時にあった債権の回収として資料をつなぎます。同じ8月分を、父の収入と死亡後の新たな賃料収入へ二度入れないようにします。

乙のように死亡後に期日が来るものは、相続後の所得を誰に帰属させるかという確認へ渡します。家賃の請求月、対象月、期日、入金日、所得税の計上年を一つの明細で追うと、相続前後の担当者が替わっても判別できます。

相続税は死亡時の財産、準確定申告は父の所得税という違いも、家族の資料に明記します。後日入金の合計だけを税理士へ渡すより、何の債権を回収したかを示す方が確認しやすくなります。

滞納と回収不能を分けて評価資料を残す

合意の内容を確認する契約書類

甲の家賃が何か月も滞納されているからといって、家族の判断で当然にゼロとはできません。「まだ払っていない」と「回収が不可能又は著しく困難」は分けて調べます。

財産評価基本通達204・205では、未収入金等の債権について、返済されるべき額を基にしつつ、課税時期の回収不能等の事情に応じて元本へ算入しない扱いを定めています。破産手続開始等の事実や、担保の有無・範囲など、条件に沿う資料が必要です。

確認する事実資料の例
どの月の家賃がいくら未払いか契約書、家賃台帳、入金明細
督促や返済合意があったか通知の控え、やり取り、合意書
債務者に回収へ影響する事実があるか取得できる決定書等。うわさだけで確定しない
担保や保証、回収済み部分があるか敷金の精算根拠、保証契約、回収記録

敷金がある場合も、家賃債権と自動的に全額相殺した数字だけを残さず、返還義務や充当・精算の関係を確認します。死亡後に生じた事実と、死亡時からあった事情を分けて担当者へ渡してください。

契約書と回収履歴を相続財産の一覧へ引き継ぐ

支払内容を確かめる領収書と計算道具

最後に三室の表へ資料番号を付けます。甲なら契約、8月分の台帳、死亡日までの未入金記録、9月25日の回収記録が一組です。乙には期日前とする根拠、丙には入金済みと預金の照合を残します。

担当者へは、確定した計上額だけでなく、契約変更が不明、敷金の充当が未確認といった欄も見せてください。不足を隠して全てを未収にする、または全てをゼロにするより、追加照会する箇所が明確になります。

家賃の相続財産への計上と、借主へ誰が請求するか、相続後の振込先を誰が指定できるかは別の確認です。財産一覧と請求・入金管理の資料をつなぎ、回収後まで記録を残しましょう。

相続に伴うほかの確認は、不動産の相続税評価額はどう調べる 土地と建物の計算方法や必要資料も参考に、今回の申告資料と分けて整理してください。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

死亡した月の家賃を日割りで相続財産へ入れますか

一律の日割りではありません。死亡日に契約上の支払期日が到来しているか、未収かを確認します。

父の所得税で計上した未収家賃も相続財産ですか

所得税の収入計上と相続税の債権評価は別です。死亡時に残る家賃債権を、入金済みの預金と区別して確認します。

長く滞納している家賃はゼロでよいですか

滞納期間だけでは決めません。債務者の事情や担保、回収不能等の資料をそろえて評価を確認します。

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