相続したマンションの管理費は経費になるか 売却と賃貸で分ける支出表

相続したマンションの管理費を払ったからといって、その全額を売却時の税金から差し引けるわけではありません。売るまで空室で持っていた費用と、賃貸収入を得るための費用では、税務上の考え方が違います。
管理会社の請求書を、費目、対象月、部屋の使い方に分けて確認します。親の生前の未払分も一緒に請求されている場合は、死亡後の支出と区分することが出発点です。
- 売却待ちと賃貸中で異なる費用の判定
- 修繕積立金の必要経費と規約の確認点
- 死亡前後の費用と精算金を整理する支出表
売却待ちか賃貸中かで管理費の目的を分ける

管理費は所有者として支払う義務がある費用ですが、支払義務があることと、所得税で必要経費になることは別です。賃貸中、自分で居住中、売却を待つ空室など、支出がどの利用に関係するかを確認します。
例えば同じ月額の管理費でも、賃貸収入を得る部屋に対応するものと、家族が住む部屋のものを同じ処理にできません。貸付けのため直接必要な費用で、家事上の費用と明確に区分できるかを調べます。
| 部屋の利用と支出 | 税務確認の入口 |
|---|---|
| 空室のまま売却を待つ管理費 | 通常の維持管理費かを確認 |
| 賃貸中の管理費 | 不動産所得の必要経費かを確認 |
| 自分や家族の居住に関する費用 | 家事上の支出と区分 |
| 親の生前に発生した未払分 | 親の所得計算と相続債務を別確認 |
貸付けを終えて売り出した場合は、以前の賃貸期間と売却までの期間も分けます。空室でも募集を続けていたのか、貸付けをやめたのかなど、実際の事情を税理士へ伝えてください。
売るまでの管理費を譲渡費用へ自動計上しない

譲渡所得の計算で差し引く譲渡費用は、不動産を売るために直接かかった費用です。売却の仲介手数料などと、所有中に毎月支払う通常の管理費を分けます。
国税庁は、修繕費や固定資産税などの維持管理費は譲渡費用にならないと説明しています。売却を待つ間にかかったから、という理由だけで管理費や修繕積立金をまとめて差し引くことはできません。
建物の共用部分への積立てと、自分の専有部分に行った改良工事も別です。改良費として取得費に関係するか、単なる修理なのかを、契約と工事内容で確認します。
買主と決済時に管理費を日割精算する場合は、その精算金の受払いを売買精算書へ残します。管理組合への支払額をそのまま税務計算へ入れ、買主から受け取った分を記録から落とさないようにしてください。
賃貸の管理費と修繕積立金の条件を確かめる

賃貸用マンションの修繕積立金は、原則として実際の修繕等が完了した年の必要経費となる考え方です。ただし、国税庁の質疑応答は、適正な管理規約に従い所定の条件を全て満たす場合には、支払期日の属する年の必要経費として差し支えないとしています。
| 規約等で確認する条件 | 確認する資料 |
|---|---|
| 所有者が支払義務を負う | 管理規約の費用負担条項 |
| 管理組合に返還義務がない | 返還に関する規定 |
| 将来の修繕等だけに使い他へ流用しない | 使途の規定と会計区分 |
| 長期修繕計画と持分等に基づき合理的に算出 | 長期修繕計画と金額算定資料 |
毎月引き落とされている事実だけで条件を満たすとは判断しません。通常の管理費と積立金の内訳、規約の改定日、特別な一時金があるかも確認します。
支払った年に既に経費にした積立金を、修繕工事が終わった年に再び同じ金額で計上しないよう、年別の処理を残しておきます。
死亡前の未払分と死亡後の費用を分ける

請求が死亡後に届いても、対象が親の生前の月であることがあります。請求書の日付だけでは区分できないため、対象期間、支払期日、未払の残高を管理会社へ確認してください。
親の賃貸所得で既に必要経費に反映されたものを、相続人が後で払ったという理由だけで自分の所得からもう一度引く処理は避けます。親の準確定申告、相続税の債務控除、相続人の所得税の計算を分けます。
相続税の債務控除は、死亡時に現にある確実な債務等の条件を確認する別の制度です。死亡後に新たに発生した管理費まで、死亡時の未払債務と一括しないようにします。
誰が最終的に費用を負担するかという家族内の精算も、税務処理とは別です。立替者と取得者が違うなら、その合意と送金記録を支出表に添えてください。
管理会社の明細と売却精算書を支出表につなぐ

支出表は「支払日、対象月、費目、利用状況、支払者、管理会社への支払額、買主等との精算、過去の税務処理」の列で作ります。未確認の項目を空白やゼロにせず、照会先を書きます。
例えば5月分の管理費と積立金を6月にまとめて払い、6月末に売る場合、支払月だけで6月分と判断しないことが大切です。売却精算書に載る期間も、管理会社明細の対象月と対応させます。
年額しかない資料は、月別・費目別の内訳を求めます。管理費、積立金、駐車場使用料、遅延損害金等が混ざっているなら、その根拠も別に確認してください。
この表と規約、貸借契約、親の申告控え、売買精算書をそろえれば、どの税のどの計算へ関わる費用かを相談できます。支払いを続けることと、申告で差し引く範囲を分けて整理しましょう。
よくある質問

空室マンションの管理費は売却の譲渡費用になりますか
売却待ちの間の通常の維持管理費を、自動的に譲渡費用へすることはできません。売却の直接費用と区分して確認します。
賃貸用の修繕積立金は払った年に経費ですか
原則は実際の修繕等の完了年ですが、適正な規約に従い国税庁の所定の条件を全て満たす場合は支払期日の属する年へ計上できる取扱いがあります。
親の滞納分を払えば相続人の経費ですか
支払った時期だけでは決まりません。対象期間と過去の申告を調べ、親の所得計算、相続債務、死亡後の所得を分けて二重計上を防ぎます。