不整形地の相続税評価 かげ地割合と補正率の確認手順

三角形や台形の土地、角が欠けた土地などは、相続税評価で不整形地補正を検討することがあります。土地を囲む長方形を描けば計算が終わるわけではなく、評価単位と基礎価額を求める方法を先に確かめます。
そのうえで、かげ地割合、地区区分、地積区分から補正率を確認します。間口が狭いことや奥行きが長いことも関係しますが、補正を全部重ねればよいという考え方は適切ではありません。
- 登記の筆数ではなく利用状況などから評価する土地の範囲を確かめる
- かげ地は日陰ではなく想定整形地と対象地の面積差を示す
- 間口狭小と奥行長大の補正は所定の比較と下限を確認する
不整形地の評価は土地の利用単位を確かめるところから始める

評価する範囲が変わると形も変わる
不整形地とは、正方形や長方形の整った土地と比べて、形状のために利用しにくい土地です。相続税の計算では、登記が一筆だからそのまま一つ、二筆だから別々と固定するのではなく、宅地の利用単位などを確認します。
例えば、隣接する二筆を一つの自宅敷地として使っているなら、一体の画地として検討する場面があります。逆に、一筆の中でも自用部分と別の利用関係の部分を分けて評価することがあります。
相続人が取得する範囲にも注意が必要です。評価額を下げるためだけの著しく不合理な親族間の分割では、分割前の画地で評価する取扱いがあるため、分割方法と土地の使い道を合わせて考えます。
公図からそのまま面積を測らない
公図は地番や位置関係を把握する手掛かりになりますが、縮尺や精度に限界があるものもあります。画像を拡大して辺の長さを測り、その数値だけでかげ地割合を作ることは避けます。
地積測量図があるなら、作成時期と境界の状況を確認します。古い図面と現況が違う場合は、建て替えや分筆、道路後退などの経緯を確認し、どの時点の形を使うかを整理します。
面積と形状が不明なまま複数の計算方法を比較しても、結果の精度は上がりません。まず評価する範囲と寸法を確かめる作業に時間を使うことが、補正の計算へ進む前提になります。
路線価方式で形状を反映する評価方法を選ぶ

形に合う基礎価額の求め方を検討する
国税庁の通達20には、整形地に区分する方法、面積を間口で割った計算上の奥行きを使う方法、近似整形地を求める方法、隣接整形地の価額を差し引く方法が示されています。どの図形でも外側の長方形だけで計算するわけではありません。
計算上の奥行きには想定整形地の奥行きを限度とする決まりがあり、近似整形地にも設定の条件があります。対象地からはみ出す部分と対象地を含まない部分の関係などを踏まえ、形状に合う方法で検討します。
道路が二つ以上ある場合は、正面路線の判定や側方などの加算も確認します。低い路線価を任意に選んでから補正するのではなく、道路との関係を反映した基礎額を求めます。
| 項目 | 確認内容 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 登記事項証明書 | 名義と権利 | 相続する範囲を確認 |
| 公図と測量図 | 位置と寸法 | 現況と違う箇所を確認 |
| 路線価図や倍率表 | 評価方式と地区 | 相続した年の資料を使用 |
| 自治体の資料 | 道路や区域の指定 | 適用する規定の前提を確認 |
| 現況写真と契約 | 利用状況と権利 | 相続開始時の状態を記録 |
かげ地割合と地区区分から補正率を確かめる

かげ地は実際の日陰を意味しない
かげ地割合は、想定整形地の面積から評価対象の不整形地の面積を差し引き、想定整形地の面積で割って求めます。ここでいうかげ地は、日照や建物の影の面積ではありません。
例として、対象地を囲む所定の想定整形地が300平方メートル、実際の土地が210平方メートルなら、差は90平方メートルで、かげ地割合は30パーセントです。この値を使い、地区区分と地積区分に対応する率を表で確認します。
ここで路線価図の表示が普通住宅地区なら、対象地210平方メートルは付表4の地積区分A(500平方メートル未満)に当たり、付表5のかげ地割合30パーセントの欄は0.90です。普通住宅地区のこの条件を置いた計算を、次の表で示します。
| 確認する項目 | この例の条件と計算 |
|---|---|
| かげ地割合 | (300平方メートル-210平方メートル)÷300平方メートル=30パーセント |
| 地区と地積区分 | 普通住宅地区・区分A |
| 採用する不整形地補正率 | 0.90 |
| 補正を反映した価額 | 基礎価額3,000万円×0.90=2,700万円 |
基礎価額3,000万円は、対象地の面積や奥行きなど必要な計算を済ませた仮定です。この例では間口狭小や奥行長大による追加の補正はないものとし、かげ地割合30パーセントをそのまま30パーセント減としていません。
同じ30パーセントでも、普通住宅地区か商業系の地区か、地積区分がどこかによって率は変わります。近隣の土地の計算例に出てくる率を、そのまま自分の土地へ移さないようにします。
面積区分の違いで率が変わる理由
同じかげ地割合でも、土地が大きければ使える配置を取りやすい場合があるなど、利用への影響は一律ではありません。国税庁の表は地区区分と地積区分を分けて補正率を示しているため、割合だけを早見表から拾わないようにします。
普通住宅地区と商業地区などの区分は、日常の町名や見た目から決めるものではなく、路線価図の表示を確かめます。地積区分も、その地区の表で判定します。
計算表には、路線価、地区区分、面積、地積区分、かげ地割合、採用率を別々の欄に記載します。元の資料へ戻れる形にしておくと、入力間違いと判断間違いを切り分けられます。
間口狭小と奥行長大の補正は単純に重ねない

似た補正を重ねず計算を比較する
付表5の注3では、間口狭小補正率の適用がある場合、不整形地補正率に間口狭小補正率を掛けて求めた率を使うことができ、その率が0.60未満なら0.60とします。奥行長大補正率の適用もある場合は、選択により不整形地補正率を適用せず、間口狭小補正率と奥行長大補正率を掛けて求めた率を使うことができます。
不整形地、間口狭小、奥行長大という三つの言葉があるから、各率をすべて掛け合わせるという計算ではありません。評価明細書でも、間口が狭小な宅地等の欄と不整形地の欄を重複して適用しない旨が示されています。
無道路地やがけ地などの事情もあるなら、それぞれの対象要件と計算順序を個別に確かめます。単に「補正漏れを探す」だけでなく、既にどこで反映したかを説明できる形にすることが必要です。
倍率地域と申告済みの土地で確認したいこと

倍率地域では固定資産税評価の内容を見る
倍率方式は固定資産税評価額に倍率を乗じる方法です。固定資産税評価で形状が考慮されている土地に、路線価方式の不整形地補正をそのまま追加すると、同じ要因を二重に反映するおそれがあります。
路線価方式の土地では、公図、測量図、路線価図、現地の写真を集め、評価単位と寸法を確認します。申告済みなら土地の評価明細書を取り寄せ、どの方法と率を使ったかを調べると、再確認する範囲が明確になります。
過去の申告を見直す際も、形が不整形だったというだけで還付されるとは限りません。更正の請求の期限と要件を確認したうえで、元の評価と異なる計算を採用できる理由を検討してください。
再計算で確認するのは差額の理由
申告後の評価を見直すときは、低い結果が出たというだけで正しいとは判断しません。評価単位、採用方法、面積、補正の重複、資料の時点のどこが元の計算と違うかを示します。
更正の請求には原則として法定申告期限から5年という期間の規律があり、個別の事情による扱いも確認が必要です。申告から何となく5年以内と考えず、法定期限と申告した日を区別して整理します。
資料が十分なら、自分で比較表を作り税理士へ確認することもできます。還付の可能性だけでなく、元の方法を変更する根拠と、逆に見直すことで評価が上がる論点がないかも確かめます。
補正後の土地評価額が確定したら、相続税の計算方法に沿って財産全体の税額を試算します。土地の評価減と税額の減少は同じ金額にはなりません。
よくある質問

かげ地割合は日陰の面積ですか
違います。所定の想定整形地と評価対象地の面積差を、想定整形地の面積で割った割合です。
不整形地補正と間口狭小補正を全部掛けられますか
無条件には重ねられません。国税庁の調整率表の注記による比較や下限を確認します。
三角形の土地なら必ず減額されますか
形状だけで結果は確定しません。評価単位、地区、面積、採用する評価方法を確かめます。