配偶者居住権の抹消登記 死亡と合意消滅の違い

子が自宅を所有し、母が配偶者居住権を持っていた場合、母の死亡で権利は消滅します。ただし、登記簿の記録まで自動で消えるわけではありません。
死亡による消滅と、生前に所有者との合意で消滅させる場合では、申請する人と添付資料が異なります。法務局の現行記載例を使い、書類を集める前に二つの経路を分けましょう。
- 権利が消滅した理由と現在の建物所有者を確かめる
- 死亡と合意で申請人・原因日・添付を分ける
- 第三者の承諾や住所変更と完了記録を確認する
消滅した理由と現在の建物所有者を確認する

配偶者居住権は、権利者である配偶者の死亡により消滅し、その権利自体を子が相続するものではありません。一方、登記の抹消は別に申請します。登記事項証明書で、抹消したい配偶者居住権の順位番号と、現在の建物所有者を確かめてください。
例えば子が建物を所有し母が居住権者である場合と、建物を所有した子も既に亡くなっている場合では、所有者側の相続関係も異なります。母の死亡資料だけを用意すれば全て済むとせず、所有権の名義を整える必要がないかも相談します。
| 消滅の理由 | 現行記載例で確認する申請の形 |
|---|---|
| 居住権者の死亡 | 建物所有者側からの単独申請 |
| 所有者と居住権者の合意 | 所有者を権利者、居住権者を義務者とする共同申請 |
施設へ移ったという事実だけから、死亡消滅の書式を使ったり、合意した日を推測で記入したりしないでください。実際にどの理由で消滅したかを、先に確定させます。
死亡消滅は所有者の申請と本人の同一性をそろえる

死亡の場合の記載例では、建物所有者が申請人となり、原因を死亡日による消滅として記載します。申請書を提出する日と、原因となった死亡日は別です。母の相続人全員を、居住権を承継した登記義務者として並べる書式ではありません。
死亡を証する戸籍等に加え、登記された居住権者と死亡した人が同じ人であることをつなぐ資料を確かめます。記載例の注意事項では、登記住所と戸籍の本籍が異なる場合などに、住民票の除票や戸籍の附票等を利用する説明があります。
死亡の記載例に、居住権者の登記識別情報は添付資料として挙げられていません。合意消滅の例から必要書類をそのまま移すのでなく、本人の同一性と死亡の事実を証する資料を、現在の住所・本籍関係に合わせて確認しましょう。
合意消滅は双方の役割と登記識別情報を確認する

生前の合意により消滅させる場合は、所有者と居住権者がその内容を確かめます。抹消では、登記上の負担がなくなる建物所有者が登記権利者、消える権利を持っていた居住権者が登記義務者となります。設定時の感覚と逆に読みやすい点です。
現行記載例には、登記原因証明情報の作成例もあります。対象の配偶者居住権、建物、当事者、合意による消滅の日を対応させ、合意内容と申請書の原因欄が一致するようにします。共同申請では居住権者の登記識別情報等も確認が必要です。
「権利を無償で消せば費用も税も問題ない」という意味ではありません。合意消滅の対価や贈与税等の扱いは登記の方式とは別に税務担当へ確認し、合意書へ署名する前に整理してください。
第三者の承諾と完了後の記録を確かめる

死亡による単独申請であっても、一切の承諾が不要とは限りません。記載例では、賃借権の登記があるなど、抹消について登記上の利害関係を持つ第三者がいる場合、承諾を証する情報等が必要な枝が示されています。全ての借主に一律の承諾を求めるという意味ではありません。
建物所有者の住所等が登記と異なる場合の変更登記と、亡くなった居住権者の同一性を証明することも、分けて確認します。現行例の登録免許税は建物1個につき1,000円で、司法書士への報酬や証明書の取得費は別です。
完了後は、申請した順位の居住権が抹消され、建物所有者と他の登記が予定どおりかを確認します。賃貸借契約の終了や、売却に向けた所有権登記の準備まで同時に終わるものではないため、残る作業を分けて管理しましょう。
関連する基本事項は、配偶者居住権とは 自宅に住み続ける条件と相続税の扱いも参考にしてください。
契約や手元の資料をもとに相談する場合は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。
よくある質問

配偶者が死亡すると居住権の登記も自動で消えますか
権利は死亡により消滅しますが、登記の抹消は別の申請です。建物の現在の所有者と、対象の配偶者居住権を登記事項証明書で確認します。
死亡した配偶者の相続人全員で申請しますか
現行の死亡消滅記載例は、建物所有者側からの単独申請です。配偶者居住権を相続する手続きではありません。所有者側にも相続が生じている場合は別に確認します。
合意で消す場合も死亡時と同じ書類ですか
同じではありません。合意消滅は共同申請を基本とし、合意日と原因証明、居住権者の登記識別情報等を確認します。第三者の登記や住所関係による追加資料も照合します。