相続放棄と連帯保証債務 親の保証と自分の契約の違い

相続放棄と連帯保証債務 親の保証と自分の契約の違いのイメージ

相続放棄で親の保証債務を引き継がずに済む場合と、自分の保証責任が残る場合があります。最初に確認するのは、亡くなった親が保証人だったのか、子自身が親の借金を保証していたのかという違いです。

請求書に連帯保証と書かれていても、死亡だけで責任が全てなくなるとは限りません。保証契約の種類と契約日、借入残高、相続放棄の期限を順に確認します。

この記事でわかること
  • 親から引き継ぐ保証債務と自分が負う保証の違い
  • 根保証の元本確定と極度額を調べる方法
  • 請求が届いた後の相続放棄と債権者への対応
目次

親が保証人だった場合と自分が保証人の場合を分ける

親が保証人だった場合と自分が保証人の場合を分けるに関する資料のイメージ

保証債務は、借りた本人が返さない場合などに、保証人が返済の責任を負うものです。保証した本人と主な借主を契約書で確認します。

親の通常の保証債務は相続の対象になる

親が知人や会社の借入れを保証していた場合、その通常の保証債務は相続の対象になります。まだ主な借主が返済を続けているから、相続する負債はないと決めることはできません。

有効に相続放棄をすれば、初めから相続人でなかったものとされ、その立場で親の保証債務を承継しません。ただし、財産だけを受け取り保証だけ放棄することはできません。

子自身が締結した保証契約は放棄しても残る

子が親の借入れの連帯保証人になっていた場合、その責任は子自身の契約によるものです。親の相続を放棄しても、固有の保証責任には影響しません。

同じ人が親の相続人と保証人を兼ねていることもあります。相続放棄をしたという書類だけで請求を全て断れると考えず、契約に基づく対応を弁護士へ相談します。

請求書だけでなく保証契約と残高を確認する

請求書だけでなく保証契約と残高を確認するに関する資料のイメージ

請求金額の内訳と、保証の対象となる債務を照合します。残高証明、借入契約、保証契約、返済履歴、更新や変更の書面等を取り寄せる方法を確認します。

根保証は死亡による元本確定を確認する

一定範囲の継続的な取引で生じる不特定の債務を保証する契約を根保証といいます。現行法の個人根保証には、主な借主又は保証人の死亡によって主たる債務の元本が確定する規定があります。

これは、保証責任が全て消えるという意味ではありません。確定までに生じた対象債務について、契約と法令に基づく責任が残る場合があります。単発の借入れの保証と同じ説明で済ませないでください。

極度額と契約日や保証の種類を調べる

現行法の個人根保証契約では、責任の上限となる極度額を定める必要があります。ただし、改正前に結ばれた契約には経過措置が関わるため、現在の規定だけで過去の契約を当然に無効とはいえません。

契約日や更新・変更の内容、保証人が個人か法人か、貸金等を含む根保証かを確認します。身元保証等も含め、保証という名称の全てが同じように相続されるわけではありません。

相続放棄は原則三か月以内に家庭裁判所へ申し立てる

相続放棄は原則三か月以内に家庭裁判所へ申し立てるに関する資料のイメージ

相続放棄を選ぶなら、原則として自己のために相続開始があったことを知った時から3か月以内に、親の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述します。借金の請求を受けるまで待てるという制度ではありません。

後から保証債務が分かった場合は起算点を検討する

死亡から3か月を過ぎて保証の存在が判明した場合でも、放棄を検討できることがあります。ただし、請求が届いた日から誰でも新しく3か月あると一律に扱うことはできません。

相続財産がないと信じた事情、そのように考えた理由、以前に取得・処分した遺産の有無などを確認します。いつ何を知ったかを記録し、通知の封筒も保存してください。

調査が終わらない場合は期間伸長を検討する

保証の契約書がすぐ見つからないときも、熟慮期間は進みます。期限内に判断できない場合は、家庭裁判所に期間の伸長を求めることを検討します。

調査中は親の財産の売却や私的な使用を避けます。単純承認に当たる行為がないか、放棄する前に事情を確認してください。

放棄受理後は証明書を示して請求先を整理する

放棄受理後は証明書を示して請求先を整理するに関する資料のイメージ

相続放棄が受理された場合は、受理通知や必要に応じて取得する受理証明書を債権者に示し、相続人として承継しない旨を伝えます。請求先が自分自身の保証契約に基づくのかは、引き続き区別が必要です。

家族間の負担合意だけでは債権者に対抗できない

きょうだいの一人が借金を全て負うと遺産分割で合意しても、銀行等が他の相続人を当然に免責するわけではありません。家庭裁判所の相続放棄や、債権者を含む債務引受等とは別です。

受理済みでも、過去の財産処分等を理由に放棄の効力が争われる場合があります。訴状や支払督促が届いたら、受理されたからと放置せず、文書に記された対応期限を確認します。

放棄を理由に子が新たな保証契約へ署名しない

親の代わりに名前だけ書けばよい、という説明で新しい保証書や返済の合意へ署名しないでください。署名すると、自分の契約による責任が別に生じるおそれがあります。

連絡の際は債権者名、担当者、請求根拠、金額を記録し、書面を受け取って確認します。請求に争いがあるときは、支払いの約束や一部返済をする前に弁護士へ相談します。

保証の有無を親の生前から確認しておく

保証の有無を親の生前から確認しておくに関する資料のイメージ

親が会社を経営していた場合は、個人の借入れだけでなく、会社の借入れに対する保証も確認しておきます。住宅ローン等の団体信用生命保険で、他人の保証債務まで全て消えるとは限りません。

親が元気な間に、金融機関名、保証先、契約書の保管場所、更新状況を一覧にします。保証を外す場合も、家族の合意だけでなく債権者との調整が必要です。

請求を受けた後は、親の契約と自分の契約を一枚ずつ分けることから始めてください。責任の根拠が分かると、相続放棄、契約の有効性の確認、自分の債務への対応を選びやすくなります。

保証以外の財産と借金の所在も分からない場合は、親の財産を調べる照会先も確認します。残高のある借入れだけでなく、保証契約の有無を別の項目にして調査してください。

よくある質問

よくある質問に関する資料のイメージ

親が連帯保証人だった借金も相続しますか

通常の保証債務は相続の対象になります。有効な相続放棄で承継を免れる場合がありますが、根保証等は契約と元本確定も確認します。

自分が親の連帯保証人でも相続放棄で免れますか

自分が契約した保証責任は、相続放棄では消えません。親から相続する債務と、自分固有の保証債務を区別してください。

死亡後3か月を過ぎて請求が届いたら放棄できませんか

検討できる場合もありますが、請求日から一律3か月とは限りません。財産調査や認識の経緯、処分の有無を資料で示して弁護士へ相談します。

相続対策について問い合わせる
目次