自社株は生前贈与と相続のどちらで渡すか 株価と経営権から比較

自社株は生前贈与と相続のどちらで渡すか 株価と経営権から比較のイメージ

自社株を生前贈与するか相続で渡すかは、税率だけでは決められません。移す時点の株価、納税資金、経営権を渡す時期が変わるためです。

今の株価で贈与する案と、相続まで保有する案を、同じ株数と家族構成で比べます。後継者以外の家族へ何を残すかも一緒に考えてください。

この記事でわかること
  • 生前贈与と相続は評価時点と経営権が移る時期を比べる
  • 暦年課税と相続時精算課税は将来の相続税算入まで確認する
  • 事業承継税制は計画期限と猶予後の条件を別に確認する
目次

自社株の贈与と相続は税金と経営権の移る時期を比べる

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株式評価は市場売買価格や額面と異なる

非上場の自社株は、額面や出資時の金額をそのまま使うわけではありません。取得する株主の立場、会社規模や資産等から税務上の評価を行います。

同じ会社でも、誰が何株取得するかで評価方式の判定が変わることがあります。今の一株評価と、移転後の株主構成を一緒に確認します。

後継者の準備と本人の生活資金も判断する

生前に株式を渡せば、後継者へ経営権を移す準備を進められます。一方、親が議決権を手放すことや、子の納税負担も伴います。

相続まで持つ場合は、死亡時の株価で税額を確認します。将来の値上がりだけでなく、業績悪化や資産構成の変化も考え、どちらが必ず得とは決めません。

比較項目生前贈与相続で取得
基本となる評価時点贈与時死亡時
税負担贈与税と後の相続税算入を確認遺産全体で相続税を確認
経営権移転する株数に応じ生前に変わる遺言や分割等により死亡後へ承継
納税資金贈与を受ける子の資金が必要預金等と合わせ準備
家族との調整贈与後も遺留分等の確認が残る遺産分割と遺留分を準備

生前贈与は課税方式と贈与後の議決権を確認する

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暦年の加算は適用時期と受贈者条件を確認する

暦年課税は、受取人の年間贈与額から基礎控除を差し引いて計算します。株数が同じでも評価額は変わるため、毎年同額の贈与とは限りません。

相続等でも財産を取得する人には、一定期間の贈与を相続税へ加算する扱いがあります。2026年末までの相続は原則3年以内です。

2027~2030年の相続は2024年1月1日以降から死亡日まで、2031年以後は原則7年以内へ段階的に変わります。加算対象期間は、相続が始まった年によって異なります。

延長部分の一定額の除外も含め、暦年贈与と相続税加算のルールを確認して試算します。

精算課税の2500万円は相続時の非課税枠ではない

相続時精算課税は、一定の条件で贈与税の負担を繰り延べる仕組みです。2,500万円の特別控除を使った部分は、原則として贈与時の価額で相続税へ算入します。

2024年以後の年110万円の基礎控除と、2,500万円の控除は扱いが違います。また、同じ贈与者について暦年課税に戻れません。

相続時精算課税の選択基準を確認し、株価が下がった場合も含めて検討します。

節税のために株式を家族へ細かく分けると、議決権も分散します。税務上の評価だけを下げる目的で、経営権の設計を後回しにしないでください。

相続で渡すなら分割の空白と納税資金を準備する

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自社株とほかの遺産の配分を一緒に考える

自社株が複数の相続人の間で未分割になると、議決権の行使で会社の意思決定が止まるおそれがあります。後継者へ集中させる遺言等を検討します。

ただし、遺言があればほかの家族への配慮が不要になるわけではありません。株式以外の預金や不動産、遺留分を含めて配分を考えます。

納税額と換金可能な資金を分ける

株式の評価額が高くても、その金額の現金が後継者へ入るわけではありません。税額と、期限までに実際に用意できる資金を分けて計算します。

会社の現金は後継者個人のお金ではありません。会社から資金を動かす場合も、適法な手続きと会社側の資金繰りを確認します。

事業承継税制は猶予の条件と期限を別に確認する

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一般措置と特例措置の対象を混同しない

法人版事業承継税制には、一般措置と特例措置があります。対象会社、先代や後継者、対象株式、認定等の要件を確認します。

2026年10月19日に確認した中小企業庁の案内では、特例承継計画の提出期限は2027年9月30日です。対象となる贈与・相続の期限とは別に管理します。

計画を提出しただけで自動適用になるわけではありません。申告、担保、継続届出などを含め、猶予が続く条件と取消時の税負担を確認します。

現在株価と複数案の試算を依頼する

税理士には、直近の決算書、株主名簿、定款、資産の明細、後継者へ渡したい株数を渡します。親自身の残す株式と、家族の取得財産も示します。

まず現在の評価額を出し、暦年贈与、精算課税、相続、承継税制の利用を同じ株数で比べてください。

税額だけでなく資金と議決権を並べると、実行できる案を選べます。

よくある質問

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株価が上がる前に贈与すれば必ず得ですか

必ずとは限りません。贈与税、相続税への算入、株価下落、納税資金と経営権を合わせて比べます。

毎年110万円以内で株を渡せば相続税もかかりませんか

そうとは限りません。贈与税の基礎控除内でも、相続時の加算対象となる場合があります。

事業承継税制を使えばすぐ免税になりますか

即座に無条件の免税になる制度ではありません。認定や申告、猶予の継続条件、免除事由を確認します。

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