間口が狭い土地の相続税評価 間口狭小補正と奥行長大補正の使い方

道路に接する幅が狭い土地は、路線価方式による相続税評価で、間口狭小補正を使える場合があります。
普通住宅地区なら、間口が8m未満のときに補正率が1未満となります。
ただし、見た目が細長いというだけで一定割合を引けるわけではありません。
地区区分、間口と奥行の距離、不整形地に当たるかを確認し、決められた補正表を当てはめます。
- 間口狭小補正に必要な地区区分と距離がわかる
- 普通住宅地区の補正率と計算の順番を確認できる
- 奥行長大や不整形地の補正を重ねる際の注意点がわかる
間口が狭い土地は路線価方式で評価を補正できる場合がある

道路に接する間口と土地全体の幅を分ける
間口とは、基本的に評価する正面道路に接する土地の幅です。
奥の宅地部分が広くても、道路への出入口が狭い土地では、道路に接する間口を確認する必要があります。
複数の道路に接する土地では、どの路線を正面路線とするかも評価に関わります。
売却広告に記載された「間口」の数字を、そのまま申告計算に使えるとは限りません。
地区区分によって対象の間口と率が異なる
補正率表は地区区分ごとに異なります。普通住宅地区で使う8m未満という基準を、商業地区や工場地区へそのまま当てはめないでください。
まず相続開始年の路線価図で地区区分を確認します。同じ町の住宅地でも、自分の土地が接する路線の表示を読み、該当する表の列を選びます。
路線価図と地積測量図から寸法を確認する

課税時期の路線価と地区区分を読む
路線価は、毎年の課税時期に応じた年分を使います。
路線価図には、1㎡当たりの価格だけでなく地区区分等も示されるので、単に前面道路の数字を控えるだけでは足りません。
測量図や公図、登記事項証明書で、土地の範囲と地積を照合します。
複数筆を一体で使っている場合など、登記上一筆ごとに別々に評価するとは限らない点にも注意します。
屈曲や複数の接道は単純な幅だけで決めない
道路に斜めに接する土地や、隅切り、屈曲した接道部分がある土地では、間口距離の求め方に個別の検討が必要です。
地図画面の縮尺から読み取った概算を確定値としないでください。
間口だけでなく奥行距離も、形状に応じた方法で求めます。現況写真と図面の食い違いがあれば、計算に入る前に土地の利用状況や境界を確認します。
間口狭小補正率を基に評価額を計算する

奥行価格補正後の価額に所定の率を掛ける
普通住宅地区の間口狭小補正率は、間口距離に応じて次のように使います。この表は普通住宅地区の抜粋であり、ほかの地区には別の列を用います。
| 間口距離 | 普通住宅地区の間口狭小補正率 |
|---|---|
| 4m未満 | 0.90 |
| 4m以上6m未満 | 0.94 |
| 6m以上8m未満 | 0.97 |
| 8m以上 | 1.00 |
仮定例で補正前後の差を確認する
一方の道路に面する単純な整形地では、路線価に奥行価格補正率、間口狭小補正率、地積を掛けるのが基本的な計算です。
さらに奥行長大補正が適用される場合は、その補正も確認します。
例として、普通住宅地区で路線価20万円、間口5m、奥行20m、地積100㎡の整形地を考えます。
奥行価格補正率1.00、間口狭小補正率0.94なら、奥行長大補正前の価額は1,880万円です。ほかの補正の有無を確かめる前の段階の金額となります。
奥行長大補正や不整形地補正との組合せを確かめる

奥行距離と間口距離の比率が基準になる
奥行長大補正では、奥行距離を間口距離で割った比率を使います。
普通住宅地区では、2以上3未満は0.98、3以上4未満は0.96、4以上5未満は0.94、5以上6未満は0.92、6以上は0.90です。
先ほどの例では20m÷5m=4なので、奥行長大補正率は0.94です。
1,880万円に0.94を掛けた1,767万2,000円が、これらの補正を反映した価額になります。
仮定の整形地の例であり、側方路線など別の条件は含めていません。
不整形地では補正率の比較と下限に注意する
不整形地に該当する場合は、間口狭小・奥行長大を単純にすべて掛け合わせる計算ではありません。
国税庁の付表5の注3では、間口狭小補正率の適用がある場合、不整形地補正率に間口狭小補正率を掛けた値(0.60未満なら0.60)を使う取扱いが示されています。奥行長大補正率の適用もある場合は、選択により不整形地補正率を使わず、間口狭小補正率と奥行長大補正率を掛けた値を使う取扱いです。各補正の適用条件を先に確認します。
不整形地補正率には0.60の下限もあります。同じ利用しにくさを二重に減額しないよう、評価明細書の該当欄と表の注記を照合します。
旗竿地や形のゆがんだ土地は、間口の数字だけで最終評価を決めないでください。
形状が複雑なら測量図と現地の利用状況を相談する

現地写真と登記だけでは足りない資料を補う
図面が古い、接道部分に段差がある、同じ敷地に貸家と自宅があるなどの事情は、計算の前提に関わります。
税理士へ相談するときは、路線価図と測量図に加えて現況写真や賃貸関係資料を渡します。
土地全体の評価の出発点は相続税申告に必要な不動産の資料でも確認できます。評価減を探すより先に、所有と利用の範囲を明確にしてください。
減額できる率から逆算して寸法を選ばない
評価額を下げたいからといって、都合のよい場所だけを測って間口や奥行にすることはできません。
申告では、どの図面と測定方法を根拠にその距離を使ったかを説明できるようにします。
土地の評価が高く納税資金に不安がある場合は、土地の相続税が払えない場合の対応も並行して検討します。
最初の作業は、課税年の路線価図と土地の図面をそろえ、地区区分と正面道路を記すことです。
よくある質問

普通住宅地区では間口が何mなら補正できますか
間口狭小補正率が1未満になるのは8m未満です。ただし、間口距離の求め方や土地の形状を確認する必要があります。
間口狭小補正と奥行長大補正は併用できますか
対象の整形地では両方を反映する場合があります。不整形地等では別の計算や選択になるため、すべての補正を単純に重ねないでください。
間口が狭ければ相続税そのものが一定割合減りますか
減るのは土地の評価計算上の価額です。相続税額全体が同じ割合で減る制度ではありません。