配偶者居住権のある家を売却するには 所有者と配偶者の合意を確認する順序

不動産の条件を整理する住まいと土地の資料

母が配偶者居住権を持ち、子が実家を所有している場合、売却の相談は二人の権利を確認するところから始めます。母の転居先が決まっても、子が持つ所有権と母の居住権が一緒になくなるわけではありません。

長期の配偶者居住権が設定された家について、権利を残して売る案と、消滅させて売る案を比較します。家族の署名を集める前に、対価、税務、登記、引渡しの順序をそろえましょう。

この記事でわかること
  • 登記と遺言や協議書から二人の権利を確認する
  • 権利を残す売却と消滅後の売却で条件が変わる
  • 合意前に税負担と転居や抹消の日程を確認する
目次

配偶者居住権と短期居住権や所有権を区別する

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

最初に、母が住んでいる根拠を調べます。遺産分割協議書や遺言、登記事項証明書から、配偶者居住権の有無、存続期間、建物と土地の所有者を確認してください。

相続後に当面の居住を守る配偶者短期居住権や、家族の使用貸借、母自身が所有者である場合は、前提が異なります。「配偶者だから住める」という説明だけで売却の手続きを決めないようにします。

資料拾う項目
遺言・分割協議書母が取得した権利と対象建物、終身か期限付きか
建物と土地の登記所有者、共有持分、配偶者居住権の登記、担保
その後の合意書期間や使用に関する合意、第三者への賃貸の有無

以下は、父の死亡後、子が家と土地を相続し、母が終身の配偶者居住権を取得して登記も済ませた仮定例です。実際の権利関係が違う場合は、例へ合わせず資料の記載を優先します。

所有者が売る権利と配偶者が使う権利を分ける

取引記録を保管するファイルと資料

配偶者居住権そのものを母が買主へ譲ることはできません。一方、子が所有権を売ることと、母の配偶者居住権を売ることは別です。

例のように居住権が登記されていれば、所有者が変わっても買主にその権利を主張できます。買主は自由に空き家として使える前提では取得できないため、権利の内容を示して購入条件を相談する必要があります。

母だけで家の所有権を売ることもできません。母が持つ権利と子の売却権限を分け、不動産会社へは登記と設定書類を一緒に渡します。

居住権を残す案と消滅させる案を比較する

贈与の合意を記録する契約書類
選ぶ案売却前にそろえる条件
居住権を残す買主が負担を理解すること、存続期間と使用状況、価格
居住権を消滅させる母の意思、消滅の法的根拠、対価と税、抹消と退去の段取り

母が施設へ入所しただけで、終身の権利が当然に消えるとは扱いません。家へ戻る可能性や利用方法を母本人と話し、権利を消す必要があるのかを確認します。

母が内容を理解して意思表示できるかも重要です。家族全員の賛成を母の合意へ置き換えず、代理の要否や利益相反が問題になる場合は弁護士等へ相談してください。

第三者に貸している部分があれば、その賃貸借も別に調べます。母と子だけが権利を消すと合意しても、賃借人の権利まで当然になくなるわけではありません。

売買契約の前に対価と税務と抹消を確認する

支払内容を確かめる領収書と計算道具

無償で権利を消してから税理士へ相談すると、既に利益が移った取引として課税が問題になることがあります。合意解除や放棄等で対価がない、又は著しく低い場合は、所有者が利益を贈与で取得したと扱われることを確認します。

反対に、子が母へ対価を払えば、母が受け取る金額には譲渡所得の確認が必要です。家の売却代金を親子で好きな割合に分ける話にせず、何の権利について誰が払うお金かを整理します。

売買価格の見込み、権利の評価、借入残高、仲介・登記等の費用、各人の税額を別欄にします。母の転居費と今後の生活費が残るかを含め、手取りで比較することが大切です。

転居と権利処理と引渡しの日程をそろえる

相談に持参する書類と封筒

契約前の確認表には、母が合意する日、消滅の効力が生じる日、対価の支払日、退去日、抹消登記の準備、買主への引渡日を並べます。同じ日になるとは限らないため、誰がどの書類を用意するかも書き添えます。

子の相続登記が未了なら、その準備も必要です。売却契約で約束した権利の状態を決済日に実現できるか、司法書士と不動産会社に工程を確認してください。

合意書、評価資料、送金記録、登記完了の資料をそろえて保存します。母が引っ越して鍵を渡したことだけで権利処理まで完了とせず、買主へ渡す状態を最後に照合します。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

母が施設へ入れば配偶者居住権は消えますか

入所だけで当然に消滅するとは限りません。設定書類と存続期間を確認し、合意や放棄等を行う場合は税務も先に確認します。

配偶者居住権を買主へ売ることはできますか

配偶者居住権自体は譲渡できません。所有者が家を売る手続きと区別して、残す権利や消滅の条件を整理します。

無償で解除すれば費用を減らせますか

対価がない又は著しく低い消滅では、所有者側へのみなし贈与が問題になります。登記費用だけで決めず、合意前に評価と税負担を確認してください。

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