配偶者居住権が消滅するときの税金 死亡と無償解除を分ける確認表

税額の計算を確かめる資料と計算機

配偶者居住権が消えたときの税金は、なぜ消えたかで変わります。配偶者の死亡や定めた期間の満了と、生前に家族で合意して解除する場合を、同じ「権利がなくなった」とまとめないことが大切です。

手続きの前には、建物を使う権利と敷地を利用する権利、所有者が得る利益、配偶者が受け取る対価を分けて確認します。合意書へ署名する前に税理士へ渡す資料も整理しましょう。

この記事でわかること
  • 死亡や期間満了と生前の合意消滅を区別する
  • 所有者へのみなし贈与と配偶者の所得を両側から確認する
  • 相続時の評価をそのまま現在の消滅価額にしない
目次

消滅する理由を死亡と合意解除に分ける

手続きの期限を確認するカレンダーと資料

まず、設定した書類と消滅の原因が分かる資料を一緒に確認します。母が亡くなった場合と、母が施設へ転居するため子との合意で権利を消す場合では、判断する税務が違います。

消滅の原因税務で確認する入口
配偶者の死亡・存続期間の満了等基本通達9-13の2の注で定める適用外の原因か
合意解除・配偶者の放棄対価の有無と額、消滅直前の権利の価額
民法1032条4項による消滅適用原因と所有者の利益、対価の有無

死亡による消滅では、配偶者居住権が所有者へ相続される仕組みではありません。その権利の消滅自体と、母が残した預金等の相続税を分けます。母のほかの遺産まで非課税になるという意味ではありません。

転居や家族の意向だけでは消滅原因を特定できません。いつ、どの法律関係で消えるのかを、抹消登記の準備と合わせて確認してください。

無償や著しく低い対価による消滅を確認する

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

子が家の所有者でも、生前の無償解除が税務上無関係とは限りません。子が居住権の負担から解放されることにより得る利益について、贈与税の検討が必要になるためです。

国税庁の取扱いでは、合意や放棄等による消滅で所有者が対価を払わない、又は著しく低い対価を払った場合、原則として消滅直前の権利に相当する利益から対価を控除した金額を贈与で取得したと扱います。建物の配偶者居住権だけでなく、敷地利用権も確認します。

例えば、終身で設定した権利を母が存命中に無償で放棄する案なら、「既に子名義だから贈与はない」という理由で進めないでください。子が得る利益の評価、同じ年の他の贈与、申告要否を一緒に試算します。

対価を少額だけ払っても、課税が必ずなくなるわけではありません。著しく低いかどうかを家族の感覚で決めず、評価と支払条件を専門家へ示します。

対価を払う場合は配偶者側の所得も確認する

取引記録を保管するファイルと資料

配偶者が消滅の対価を受け取る場合、その対価は譲渡所得の収入として確認します。所有者が払う贈与税だけを見て、受取側の所得計算を省かないようにします。

この所得は、家の所有者が土地・建物を売る所得とは区分が異なります。配偶者居住権等の消滅対価には総合課税の譲渡所得の取扱いがあり、土地建物の分離課税の税率をそのまま掛ける計算ではありません。

対価全額がそのまま課税所得になるとも限りません。権利の取得費等の計算や所有者側が後に家を売る際の取得費も関係するため、母の所得、子が得る利益、子の売却所得を別々に税理士へ確認してください。

残存期間と設定時の資料をそろえる

贈与の合意を記録する契約書類

消滅直前の価額を調べるためには、最初の相続時の申告書だけでは足りないことがあります。相続から年数がたてば、建物の状態や価額、配偶者の年齢、残りの存続期間等が変わるためです。

資料のまとまり確認する内容
設定時の資料遺言や分割協議書、権利登記、相続税申告書と評価明細
現在の資料土地建物の評価、母の年齢、終身又は期限付きの定め
消滅案原因、効力日、対価、支払者と受取者、対象となる権利
その後の利用売却予定、売買価格、第三者利用の有無

相続時の評価と、今回使う評価の目的・時点を台帳で分けてください。過去の評価額をそのまま合意金に転記せず、現在の権利に合った計算かを確認します。

署名前に課税と登記と送金を一緒に確認する

送金と受領を確かめる口座の資料

合意する前に、誰に何の税金が生じる見込みかと、その納税資金を並べます。子に贈与税の負担が生じても手元現金は増えていない場合があり、売却代金が入る時期とも調整が必要です。

税理士には「権利を消したい」とだけ伝えず、合意案、評価資料、送金予定、売却予定を同時に渡します。司法書士には消滅原因と抹消の資料を確認し、家族の合意と登記の原因が食い違わないようにします。

実行後は、署名した合意書、対価の振込明細、登記の控え、申告資料を保存します。施設への転居だけで権利を消さない場合も、その状態を記録し、後から無償放棄したと誤解されないよう経過を残してください。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

配偶者が死亡して居住権が消えたら子に贈与税がかかりますか

死亡を原因とする消滅は、合意解除等を対象とする基本通達9-13の2の注で適用外とされています。配偶者のほかの遺産に関する相続税は別に確認します。

母へ少額を払えば贈与税を避けられますか

著しく低い対価の場合も所有者への利益移転が問題になります。現在の権利の評価と対価を比較して確認する必要があります。

母が受け取る消滅の対価は非課税ですか

一律に非課税ではありません。配偶者居住権等の消滅対価は譲渡所得の確認が必要で、取得費等も含めて受取側の所得を計算します。

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