未登記の増築がある家を相続して売るには 図面と登記をそろえる手順

親の家を売ろうとして、登記の床面積と実際の広さが違うと気付くことがあります。本体は登記されていても、その後の増築だけが反映されていない場合は、家全体が未登記の場合とは準備が異なります。
登記、現況図面、課税資料を照合し、増築の時期と資金の資料を整理してから土地家屋調査士へ相談します。売却の条件に合わせて、表示の登記と相続による権利の登記をそろえましょう。
- 家全体の未登記と本体登記後の増築を見分ける
- 工事資料から増築の所有関係と必要な登記を相談する
- 建築の適法性や買主の融資は登記と別に確認する
家全体が未登記か増築だけかを分ける

最初から増築部分だけに新しい建物の登記を作ると決めないでください。既にある建物の床面積変更なのか、独立した別棟なのか、附属建物なのかを、形と使い方から確認する必要があります。
仮に、登記では80平方メートル、課税資料では100平方メートルの家を相続したとします。この20平方メートルの差だけで増築と断定せず、古い図面、現地の形、課税上の面積の数え方を照合します。
| 確認欄 | 仮定例で集めるもの |
|---|---|
| 登記の記載 | 家屋番号、種類、構造、床面積、附属建物 |
| 現地と図面 | 増えた部屋、つなぎ方、出入口、写真、各階平面図 |
| 課税資料 | 家屋の番号と面積、評価対象となった範囲 |
| 不一致の整理 | 20平方メートルの差の根拠と、まだ分からない部分 |
増築の時期と資金と所有の根拠を確認する

増築工事を誰が注文し、誰が代金を負担したかを確認します。親名義の家だからすべて親の遺産、子が払ったから増築部分だけは必ず子の独立した建物、とどちらにも即断できません。
請負契約、領収書、借入資料、建築確認の書類、家族間の合意を年代順に並べます。工事業者が廃業している場合は、残っている書類と不足資料を分け、代わりに何を調べるかを相談します。
例で同居の子が増築代を払っていたら、その領収書を相続資料から外さず保留します。既存建物への附合や共有の経緯が問題になる場合があり、実体の所有関係と登記手続きを専門家に確認するためです。
表題部変更と相続登記を専門家へ相談する

登記済みの建物を増築した場合には、建物表題部変更登記が必要になります。全体が未登記なら表題登記から検討するなど、入口が異なるため、登記事項証明書を調査士へ先に見せます。
物理的な表示の登記は土地家屋調査士に、所有権の相続など権利に関する登記は司法書士に、担当と必要な資料を確認します。順序は現在の登記と所有関係によって変わり、どの家でも同じ手順とは限りません。
増築による表示変更には変更後1か月以内の申請義務があり、相続したから過去の未了部分を放置できるわけではありません。一方、相続登記の原則3年の期限と同じ義務ではないため、二つを別欄にして対応を相談してください。
現地調査や図面の作成、所有資料の確認には時間がかかることがあります。買主の希望日だけで完了を約束せず、調査結果が出てから売却工程へ反映します。
建築確認と検査や融資の条件を別に確かめる

登記面積が現況に合っても、その増築が建築基準法等に適合することまで証明されたわけではありません。建築確認済証、検査済証、増築時の図面と、現在の法令制限を分けて確かめます。
例えば、実際の床面積を登記へ反映できても、容積率の問題や買主の融資審査で追加調査が必要な場合があります。書類がないことを直ちに違反と断定せず、建築士や不動産会社に確認できる事項を整理します。
家の状態を調べる検査、表示の登記、所有権の登記は役割が違います。一つを終えたことを理由に、ほかの確認を省略しないようにしてください。
売却条件と登記完了の予定を合わせる

不動産会社へは、現在の登記、現況写真、図面、増築資料、調査中の項目をまとめて渡します。何を売主負担で整えるのか、買主の融資や引渡しにどの書類が必要かを契約前に確認します。
| 売却の打合せ欄 | 決める内容 |
|---|---|
| 整備する登記 | 対象、申請者、担当者、予定日 |
| 調査と書類 | 所有の根拠、図面、建築関係、未取得資料 |
| 費用と遅れ | 見積範囲、追加調査の扱い、予定変更の連絡 |
| 契約への反映 | 引渡し時の状態、必要書類、未解決時の条件 |
増築工事の領収書は、登記が終わっても処分しないでください。売却時の取得費等の確認に使う可能性がありますが、工事費や登記費用がすべて譲渡費用になると一括処理せず、目的と内容を税理士へ示します。
実家の表示を直す作業と、買主へ何をどこまで説明するかを並行して進めます。分からない事項を「問題なし」と埋めず、調査結果と未確認を区別して記録することが売却条件の調整につながります。
よくある質問

固定資産税を払っていれば増築の登記は済んでいますか
課税されていることと登記されていることは別です。登記事項証明書と課税資料、現地の建物を照合してください。
増築部分だけ新たに表題登記すればよいですか
既登記の本体の変更か、別棟又は附属建物かで手続きが異なります。形状と利用、所有資料を土地家屋調査士へ確認します。
登記を直せば買主は必ず融資を受けられますか
登記は建築の適法性や融資承認を保証しません。建築関係の資料と買主の金融機関の条件は別に確認が必要です。