所有不動産記録証明書と名寄帳の一覧が食い違うときの照合手順

所有不動産記録証明書と名寄帳の一覧が違うときは、どちらかを正しい一覧と決めて片方を捨てず、地番・家屋番号ごとに食い違いを残します。登記の検索結果と自治体の課税資料では、情報の元と載る範囲が違うためです。
ここでは、父の宅地、私道持分、車庫、別荘らしい資料が見つかった架空の例で、確認先と残作業を整理します。実在の相談事例ではなく、照会する順番を考えるための例です。
- 二つの資料の食い違いは地番や家屋番号ごとに残す
- 私道の非課税範囲と車庫の登記の有無を別に調べる
- 旧住所の追加調査と確認済みの作業を同じ四行で追う
四つの物件を地番ごとの照合表へ並べる

父が亡くなり、父名義で所有不動産記録証明書を取り、心当たりの自治体から名寄帳を取得したとします。さらに自宅に残った契約書類から、別荘の可能性がある土地も見つかりました。
最初に、資料ごとに書かれた所在地と番号を控え、同じ物件を同じ行へ並べます。税の管理番号と登記の家屋番号が違う場合は、その対応を未確認として残し、数字が似ているだけで同じ建物にしません。
物件数を家の数へまとめない
| 架空の物件 | 記録証明書 | 名寄帳 | 最初に残す疑問 |
|---|---|---|---|
| 甲 宅地 | 掲載あり | 掲載あり | 同じ地番と権利の範囲か |
| 乙 私道の持分 | 掲載あり | 掲載なし | 非課税等で載らないのか |
| 丙 車庫 | 掲載なし | 掲載あり | 未登記か、番号や名義が違うのか |
| 丁 別荘の候補 | 掲載なし | 掲載なし | 旧住所や別名義で調査が残るか |
家が一軒でも敷地や私道が別の筆なら、別行にします。表の「掲載あり」は所有権や持分が確認済みという意味ではなく、どの資料で見つかったかを示す段階です。
私道と車庫は載らない理由を別の窓口で確かめる

乙の私道は、まず所在地の自治体へ、名寄帳に非課税の土地を載せるかを尋ねます。川口市のように公衆用道路等の非課税物件を掲載しない自治体では、名寄帳にない理由として説明できる場合があります。
ただし、非課税と聞いたことだけで父の持分は確定しません。乙の登記事項等を取り、父の所有者表示と持分を確認します。本例では、父の持分が8分の1と確認できたと仮定して、その根拠資料を付けます。
丙の車庫は、自治体の課税台帳の番号、所在、構造・床面積と、手元の図面等を照合します。父に課税されていることと、建物の所有権登記があることは同じではありません。法務局の資料等で未登記と確認できた場合も、建築時の契約や取得経緯を調べ、必要な表題登記等を土地家屋調査士へ相談します。
回答は資料名と確認日を添えて表へ戻す
電話の回答は「市へ確認済み」だけで終えず、確認日、担当部署、何を答えてもらったかを表へ戻します。証明書や登記事項を取得した場合は資料番号を付け、口頭回答と書面で確認した範囲を区別してください。
別荘候補は旧住所と名義の資料を足して再調査する

丁の別荘候補は、両方に載らないからといって存在しないと決めません。古い売買契約書、管理費の支払、固定資産税の資料等から、所在地、契約名義、契約当時の住所を確認します。
本例では、契約書に父の旧住所が記載されていたと仮定します。今の住所だけで行った検索とは条件が違うため、旧住所を証する資料を用意して、追加の検索が必要かを確認します。
該当なしの条件と未取得資料を分けて残す
所有不動産記録証明書は、請求した氏名・住所等の条件に基づく検索結果です。旧住所の登記や、審査中でまだ登記へ反映されていないもの、所有権登記のない建物等は、現在の条件では出ない場合があります。
契約名義が祖父である可能性が出たなら、父の資料だけで調べた結果を祖父の名義調査の結果へ読み替えないでください。誰のどの住所で調べたかを残し、祖父の相続や別人との同一性も含めて追加資料を整理します。
丁についてまだ登記事項を取得していないなら、「旧住所で検索予定」「契約名義の確認中」と書きます。検索条件が足りない状態と、正しい条件で調べても該当しなかった状態を別にすることが、再調査の判断につながります。
照会結果から登記と財産調査の残作業を決める

確認後は、同じ四行の表へ結論と次の担当を追記します。最初の表を消して新しい一覧にすると、何の食い違いをどう解消したかが分からなくなるため、調査経過が追える形で残します。
| 架空の物件 | ここまでに確認したこと | 残す作業 |
|---|---|---|
| 甲 宅地 | 両資料の地番が一致 | 登記事項で権利と担保を確認 |
| 乙 私道 | 自治体の非課税掲載範囲と父の8分の1持分 | 持分を遺産一覧と登記相談へ反映 |
| 丙 車庫 | 課税台帳と現況が対応、未登記と確認 | 取得経緯を確認し表題登記等を相談 |
| 丁 別荘の候補 | 旧住所を示す契約資料あり | 名義と旧住所の追加検索・登記事項取得 |
家族と専門家へ同じ資料番号で渡す
家族や専門家へ渡す際は、表の行番号と根拠資料の番号を一致させます。甲の登記が取れた、丙の建築資料がないなど、どの物件の不足かを具体的に伝えられます。
名寄帳の評価額は、そのまま全物件の相続税評価になるわけではありません。所在と権利を確かめる作業、相続税評価、名義変更は別に進めます。税の期限が迫る場合は、丁が未回答であることも隠さず税理士等へ示してください。
まず、食い違いのある一行について「どの資料が根拠か」「誰に何を確認するか」を決めましょう。すべての一覧が同じになるまで待つより、解消済みと未確認を分けることで、登記や申告の残作業を具体化できます。
よくある質問

二つの一覧の件数が違えばどちらかが誤りですか
必ずしも誤りではありません。情報源と掲載範囲が違うため、物件ごとに所在地や番号、非課税の扱い、登記の有無を確認します。
名寄帳にある車庫なら登記もありますか
課税台帳の登録と登記は別です。番号と現況を照合し、未登記の可能性や取得経緯を確認します。
両方にない別荘の資料は捨ててよいですか
調査の手がかりとして残します。契約名義や旧住所、所在地を確認し、どの条件の検索や登記事項の取得が残るかを整理してください。