未支給年金を受け取った遺族の確定申告 一時所得の合計と計算例

父の未支給年金を受け取ったら、年金の請求だけでなく、自分の所得税の確認も必要です。公的年金の未支給分は、原則として受け取った遺族の一時所得になります。
判断の順序は、給付の種類を確かめ、同じ年の一時所得を合計し、本人の給与や年金などと合わせることです。50万円の特別控除と20万円の申告不要基準を、別の数字として整理します。
- 未支給年金と遺族年金や父の所得の違い
- 一時所得を合計して50万円と2分の1を計算する例
- 給与や公的年金の申告不要制度と住民税の確認
受け取った給付名と受取人を支給決定通知で確認する

公的年金の未支給年金は、亡くなった人の相続税の財産へ当然に入れるお金ではありません。一定の遺族が自分の固有の権利として請求し、受け取った遺族の一時所得の収入として確認するのが原則です。
父の年金に関する入金でも、父が生前に受領した年金、遺族へ支払われる未支給年金、遺族年金では扱いが異なります。通知の給付名と名義、対象月、支払元を一行ずつ書き出してください。
| 通知や入金の内容 | 税務の確認先 |
|---|---|
| 父が生前に受け取った老齢年金 | 父の所得税・準確定申告の資料 |
| 遺族へ支給された公的年金の未支給分 | 受け取った遺族の一時所得 |
| 法定の公的遺族年金 | 原則非課税。未支給分と別の給付として確認 |
| 企業年金や個人年金の遺族への支払い | 制度や契約の名称から別に判定 |
ここでは一般的な公的年金の未支給年金を扱います。法令で別に非課税とされる給付や、企業年金等の支払いを、名前に「年金」があるというだけで同じ計算へ入れません。
同じ年の一時所得を合計して50万円を一度だけ引く

未支給年金だけの額を見る前に、その年に本人へ帰属するほかの一時所得がないかを調べます。特別控除50万円は、一時所得の受取ごとに使える枠ではありません。
一時所得の基本計算は、総収入から、その収入を得るため直接要した支出を差し引き、さらに最高50万円の特別控除を引く方法です。その残額の2分の1を、給与など他の所得と合わせる計算へ使います。
説明用に、公的未支給年金80万円と、別の一時所得の収入20万円が同じ人に同年中に帰属し、いずれも計算上差し引く直接の支出はないと仮定します。
| 計算の段階 | この例の金額 |
|---|---|
| 一時所得の収入の合計 | 80万円+20万円=100万円 |
| 直接要した支出 | 0円と仮定 |
| 特別控除後の一時所得 | 100万円-50万円=50万円 |
| 総所得へ合算する金額 | 50万円×2分の1=25万円 |
25万円は税額ではありません。給与や年金などの所得と合わせ、本人の控除や税率を踏まえて所得税を計算する際の金額です。
保険の満期金が別にある場合は、その保険料を誰が負担したか、所得税となる契約か、源泉分離課税など別の扱いがないかを先に確認します。受取額20万円を無条件でこの例へ足すのではありません。
給与所得者の20万円基準は収入額で判定しない

会社員によく関係する「20万円」は、未支給年金の入金額をそのまま比較する基準ではありません。給与を一か所から受け、給与収入が2000万円以下で、給与等が源泉徴収の対象となるなどの条件を満たす人について、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計を確認します。
一時所得は、50万円の特別控除等を反映した後の金額を2分の1にして、この合計へ入れます。例の25万円に他の副業所得等があれば、それも含めて判定します。
未支給年金が80万円でも他の一時所得で結果が変わる
仮に未支給年金80万円だけで、他の一時所得も直接支出もなければ、50万円を引いた30万円の半分、15万円がこの判定で使う金額です。一方、前節のように別の一時所得収入20万円が加わると25万円になります。
ただし15万円なら誰でも全ての申告が不要、とは結論づけられません。給与の受取先、他の所得、医療費控除等の還付申告をするかも確認します。還付を受けるため所得税の申告をする場合には、20万円以下というだけで他の課税所得を記載から省くことはできません。
税額が出ない場合なども含め、申告が必要かは本人の全体の計算で判断します。未支給年金をいくら受けたかという一つの数字だけで決めないようにしてください。
年金受給者の制度と住民税申告を別に確認する

母が未支給年金を受け取る場合は、子の給与所得者向けの判定を使わず、母自身の所得から確認します。公的年金等の収入が400万円以下で、公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下などの条件を満たす人には、確定申告不要制度があります。
源泉徴収の対象とならない外国の公的年金等がある場合には、この制度を使えないことがあります。400万円だけで判断せず、年金の支払元と種類も確認します。
また、所得税の20万円の申告不要制度と住民税は別です。所得税の申告が不要となる場合も、住民税の申告が必要なことがあります。所得税の申告をしない人は、未支給年金と他の所得の計算資料を持って、市区町村へ住民税の申告を確認してください。
法定の公的遺族年金の非課税と、未支給年金の一時所得も分けます。「父の年金を母が受けたものだから全て非課税」とまとめないことが、申告の見落としを防ぎます。
決定通知と入金明細を自分の申告資料に保存する

未支給年金の資料は、父の相続ファイルだけでなく、受け取った本人の税申告の資料にも保存します。日本年金機構は、未支給年金を受け取った人の一時所得に該当し、確定申告が必要となる場合があると案内しています。
| 残す資料 | 確認する欄 |
|---|---|
| 支給決定等の通知 | 給付名、受取人、対象月、決定日、金額 |
| 入金明細 | 振込日、金額、通知との対応 |
| 本人の年間所得一覧 | 未支給年金以外の一時所得、給与や年金、他の所得 |
| 申告の控え | 対象年、計算、提出した申告や住民税確認の記録 |
決定通知と入金の年が異なるなど、計上する年に迷う場合は、両方の日付を税務の担当者へ伝えます。一般の老齢年金の対象月の処理と混ぜず、未支給年金の支給として確認してください。
代理で受け取った、通知名義と振込先が違うといった事情も、通帳の名義だけで課税される人を決めないようにします。誰の権利で支給されたお金かを示し、その人の申告へつなげましょう。
相続に伴うほかの確認は、相続の相談はどこにする 悩み別の専門家と無料相談も参考に、今回の申告資料と分けて整理してください。
よくある質問

未支給年金は父の準確定申告へ入れますか
公的年金の未支給年金は、原則として受け取った遺族の一時所得です。父が生前に受領した年金や遺族年金とは分けます。
未支給年金が50万円以下なら申告は不要ですか
同じ年のほかの一時所得も合算します。50万円は受取ごとに使える控除ではなく、他の所得や申告理由も確認します。
所得税が申告不要なら住民税も不要ですか
同じとは限りません。所得税の20万円の申告不要制度と住民税は分けて、市区町村へ確認してください。