相続登記後に登記識別情報をなくしたら 売却前の本人確認

相続登記を終えた土地を売ろうとして、自分の登記識別情報が見つからない場合でも、所有権がなくなるわけではありません。ただし再発行はできないため、売却時の本人確認を別の方法で準備します。
親の古い権利証を探している場合との違いから、三つの確認方法、盗難が疑われるときの対応、専門家へ渡す資料を説明します。
- 親の権利証と相続登記後の自分の情報を区別する
- 売却の日程に合わせて本人確認方法を相談する
- 失効と不正登記防止は別の手続きとして確認する
なくしたのが親の権利証か自分の識別情報かを確認する

通常の相続による登記で親の古い権利証が見つからない場合と、相続登記を終えた自分が売却のために識別情報を出す場合では、書類の役割が違います。今回なくした情報が、誰のどの取得に伴うものかを最初に確かめてください。
通常の相続登記は、親の登記識別情報がなくても申請できるのが原則です。一方、登記を終えた自分が売主となるときは、登記義務者の本人確認に使う情報が問題になります。
| 台帳の欄 | 照合するもの |
|---|---|
| 土地L01と建物L02 | 地番/家屋番号と所有者や持分 |
| 自分の相続登記 | 完了日、登記完了証、現在の記録 |
| 通知の受領 | 自分や代理人が受け取ったか、保管先 |
| 紛失したもの | 親の旧権利証か、自分の取得後の識別情報か |
識別情報等は、紛失を理由に再発行されません。ただし、紛失しただけで土地の所有権を失うわけでも、売却が絶対にできなくなるわけでもありません。名義と本人の確認方法を分けて準備します。
売却の予定日までに三つの代替方法を相談する

登記識別情報を提供できない正当な理由があるとき、不動産登記法23条は事前通知などの仕組みを定めています。本人が自分で作った申立書を添えれば、どの方法でも直ちに登記できるという説明ではありません。
| 方法 | 相談する内容 | 日程で注意すること |
|---|---|---|
| 事前通知 | 登記所から本人への通知と所定期間内の申出 | 通知の受領と返送等が必要で登記完了まで時間がかかる |
| 資格者代理人の本人確認情報 | 登記申請を委任した資格者が面談や資料で確認 | 作成に必要な資料と費用、登記官の判断 |
| 公証人の認証 | 本人確認に必要な認証の方法と資料 | 認証の準備、登記申請と決済の予定 |
資格者代理人による情報や公証人の認証がある場合も、法令の条件に沿い、登記官が相当と認めることが必要です。「本人確認情報を買えば必ず登記できる」と考えず、取得の経緯と本人確認資料を担当者へ示します。
事前通知では通知が到着する前に申請が完了するわけではありません。売買代金の支払いと所有権移転を同じ日に進めたいなら、契約後に紛失を伝えるのではなく、決済予定日の前に方法を相談してください。本人確認の費用は、識別情報の再発行代ではありません。
漏えいの不安は失効申出と不正登記防止の相談を分ける

通知をなくした、番号が写った写真を他人へ送った、実印も盗まれたなど、起きた事実を分けて記録します。識別情報が漏れたおそれがある場合には、本人や相続人等から失効の申出ができる制度があります。
失効させても、新しい識別情報が再発行されるわけではありません。後に通知が見つかった場合の扱いも含め、申出前に管轄登記所へ確認します。番号を相談用の公開資料や家族共通の一覧表へ貼り付けることも避けてください。
不正登記がされる差し迫った危険があるときは、不正登記防止申出も相談します。これは失効とは別の制度で、申出から3か月以内の不正登記防止に関わるものであり、全ての登記を永久に凍結する仕組みではありません。危険が続く場合の対応も登記所へ尋ねます。
完了証と登記記録と本人確認資料をまとめる

司法書士へはL01とL02の記録、相続時の資料、現在の住所氏名と登記の相違、本人確認資料、売却の予定を渡します。共有者がいるなら、土地や建物だけでなく誰の持分の情報がないのかを区別します。
登記事項証明書は、登記された権利関係を確認する資料です。識別情報は申請に関わる本人確認手段であり、完了証は登記完了を知らせるものです。役割を分けておけば、完了証があるから秘密情報も確認済み、と取り違えずに済みます。
紛失の発覚日、相談先、選んだ方法、追加資料とその取得予定を台帳へ残してください。売却予定がない場合も、盗難等の具体的な不安があれば放置せず相談し、保管方法を見直します。
相続に伴うほかの確認は、相続登記の義務化はいつまでか 3年の期限と必要書類や未分割の対応も参考に、今回の申告資料と分けて整理してください。
よくある質問

なくすと相続した家の所有権も失いますか
紛失だけで所有権は失いません。ただし将来の売却などでは、識別情報に代わる本人確認方法を準備します。
登記識別情報は再発行できますか
紛失したものの再発行はできません。事前通知や資格者代理人の本人確認情報、公証人認証等を確認します。
事前通知なら売買決済当日に全て終わりますか
通知の受領と期限内の申出が必要です。決済の進め方に影響するため、売買契約の前から司法書士等へ相談してください。