薬局開設者が死亡したら 廃止届と営業再開の準備

薬局を営む親が亡くなったときは、許可証の開設者が親個人なのか法人なのかを最初に確認します。個人の薬局開設許可は、店舗や在庫と一緒に子へ名義変更すれば使えるものではありません。
旧薬局の廃止、後継者の開設許可、保険薬局の指定、患者や記録の引継ぎは別の手続きです。同じ場所で続けたい場合も、営業を再開できる日程を保健所と地方厚生局へ早めに相談してください。
- 開設者の死亡と管理薬剤師の死亡を分ける
- 廃止届と後継者の新たな許可を区別する
- 在庫や処方箋と保険指定の引継ぎを整理する
個人の開設者か法人の管理薬剤師かを先に分ける

薬局開設者は、薬局を開く許可を受けた人又は法人です。管理薬剤師は、薬局を実地に管理する薬剤師で、同じ人が二つの役割を持つ場合もあります。許可証、管理者の届出控え、法人の登記事項を並べて確認します。
| 死亡した人の立場 | 最初の判断 | 後継者が準備すること |
|---|---|---|
| 個人の開設者で管理薬剤師も兼ねる | 旧許可の廃止と新主体の開設許可を分ける | 新しい開設者、管理薬剤師、業務体制 |
| 法人の代表者又は管理薬剤師 | 開設者である法人が存続するか確認 | 代表者や管理者の変更と、薬局の適法な管理体制 |
| 従業者の薬剤師 | 開設者死亡とは異なる | 勤務体制と必要な変更届、患者対応 |
法人が存続する場合でも、必要な管理者がいないまま調剤できるという意味ではありません。父が何を兼任していたかを所管へ伝え、変更と人員確保の順番を確かめます。
薬剤師でない相続人も調剤できるわけではない
薬局の財産を相続することと、自分で調剤する資格を得ることは別です。薬機法7条は、開設者が薬剤師でない場合、その薬局の実務に従事する薬剤師から管理者を指定し、実地に管理させることを求めています。相続人の名前だけ決めても、営業体制は完成しません。
旧薬局の廃止と後継者の開設許可を切り分ける

練馬区は、個人開設者が死亡した場合には相続人が廃止届を提出し、親子であっても開設者が別人になる場合は新規の許可が必要と案内しています。同じ店舗を使うから、旧許可証の氏名を書き換えるだけでよいとは考えないでください。
薬機法10条の廃止等の届出期限は30日以内です。この期限は、新たな開設許可なしに営業を続けられる猶予期間ではありません。死亡時の廃止日や届出人、後継者の申請日程を直ちに所管へ確認します。
| 手続き | 使う資料の例 | 混同しないこと |
|---|---|---|
| 旧薬局の廃止 | 廃止届、旧許可証、死亡等について窓口が求める資料 | 旧主体の営業を終える届出 |
| 後継者の開設許可 | 開設許可申請、平面図、管理者や従事者・体制の資料 | 新主体が開設するための許可 |
| 法人の管理者等の変更 | 変更届、後任者の資格・勤務体制の資料等 | 個人開設者の死亡廃止と一律にしない |
福岡市の廃止手続きでは、開設者死亡時に戸籍法87条の届出義務者が届け出ると案内しています。提出する人や添付、部数は所在地の案内を使い、遠方の自治体の様式をそのまま提出しないようにします。
法人へ移す場合も名義書換で済ませない
子の会社で続ける場合も、許可を受ける主体が変わるのかを確認します。既存の設備を使うことと、新しい開設者の審査を省略できることは同じではありません。新しい平面図と現況が違う部分も、申請前に示してください。
薬剤と処方箋と保険指定を再開前に引き継ぐ

許可の相談と並行して、患者対応、薬剤の保管、記録を誰が引き継ぐかを決めます。薬剤を家族の判断で他の店へ運んだり、処方箋を一般の遺品と一緒に廃棄したりしないでください。
| 引き継ぐ対象 | 先に整理する内容 | 相談先の区分 |
|---|---|---|
| 医薬品の在庫 | 種類、数量、期限、保管状態、返品や譲渡先 | 管理薬剤師と薬務担当 |
| 麻薬や覚醒剤原料等 | 別免許や在庫の有無、専用の届出・処理 | 所管の薬務担当。通常薬の廃止届と別 |
| 処方箋や調剤録等 | 保存が必要な記録、保管者、照会や患者引継ぎ | 薬剤師と所管窓口 |
| 保険薬局の指定 | 旧指定の廃止、新指定、希望日、職員と記録の継続 | 地方厚生局の担当窓口 |
薬剤師法27条は、調剤済み処方箋について、調剤済みとなった日から3年間の保存を定めています。これだけが全記録の保存期間という意味ではなく、調剤録や保険請求の記録等も種類ごとに確認します。後継者へ渡す際は、患者の個人情報を扱う方法も併せて決めます。
保険薬局の指定日を開設許可の日と混ぜない
薬機法上の開設許可と、保険薬局としての指定は別です。関東信越厚生局の2026年9月以降の案内には、個人開設者の死亡等により、職員や調剤録等を引き継いで患者への調剤を続ける緊急の場合の遡及指定が示されています。
遡及指定は指定日をさかのぼらせる取扱いで、死亡すれば自動的に認められるものではありません。新指定の申請と旧指定の廃止を別に進め、今回の引継ぎが該当するか、施設基準や提出資料も担当窓口へ確認します。予定の再開日を患者へ約束する前に、許可・指定・人員の三つをそろえてください。
承継を見送る場合も未処理の請求と保管先を決める

廃止届を提出しても、患者への案内、取引先への未払金、家賃やリース、従業員との精算がすべて終わるわけではありません。薬局の許可と、相続する資産・債務を分け、どこへ照会すればよいかを残します。
継がない場合にも、記録の保管や在庫の適正な処理を放置しないでください。税務上の廃業と帳簿等の整理は、個人事業主が死亡したときの事業承継を参考に、薬局特有の手続きと別に確認します。
相続する財産や契約の担当を整理して相談する際は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。
よくある質問

薬局を相続すれば親の許可で営業できますか
個人開設者が変わる場合、親の許可を名義変更して使うものではありません。旧薬局の廃止と後継者の新たな開設許可を所管へ相談します。
管理薬剤師が死亡した場合も必ず廃止しますか
開設者である法人が存続し管理薬剤師が死亡した場合は、個人開設者死亡とは異なります。後任者と営業体制、変更届等を確認してください。
廃止届の期限まで営業を続けてよいですか
30日の届出期限は、無許可で営業を続けられる期間ではありません。新主体の許可や管理体制を所管へ早急に確認します。