相続した空き家を賃貸に出す前に 修繕見積もりと手取りを確認する方法

不動産の条件を整理する住まいと土地の資料

相続した実家を貸せば、家賃で維持費を払えるかもしれません。ただし、貸し出すための工事や設備交換、空室中の負担まで含めると、想定家賃だけでは採算を判断できません。

工事を注文する前に、貸せる状態にする費用、毎年残るお金、将来自分で使う時期を同じ表で確認します。賃貸後の売却では使えなくなる特例もあるため、募集を始める前の比較が大切です。

この記事でわかること
  • 募集前に家賃査定と修繕見積もりをそろえる手順
  • 空室や維持費を入れた収支と工事の税務区分
  • 賃貸契約の終了条件と将来売却の確認点
目次

家賃査定と貸せる状態の診断を同時に取る

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

不動産会社には家賃の目安だけでなく、近隣で借り手が求める設備、募集期間の見込み、貸す前に必要な修繕を聞きます。長期間住んでいない家では、給排水、給湯、雨漏り、電気設備などを現地で確認する必要があります。

見積もりは、安全や使用に必要な工事と、家賃を上げるための改良を分けてもらいます。全て新品にした金額だけでは、最低限の整備で貸す案と比べられません。

貸主には使用収益に必要な修繕をする義務があり、特約で借主に任せる場合も内容と効力の確認が必要です。「古い家なので修理は一切しない」と募集欄に書けば全て解決するわけではありません。

また、相続人が複数いて取得者が決まっていない場合は、誰が契約し誰が工事を発注するのかを先に整理します。工事費を払った人と家賃を受け取る人を曖昧にしないでください。

初期費用と毎年の支出を分けて手取りを比べる

取引記録を保管するファイルと資料

初期費用には、家財整理、設備修理、募集の費用などを見込みます。毎年の支出は、固定資産税、保険、管理委託料、定期点検、修繕の予備費などです。家賃が入らない月も続く支払いを落とさないようにします。

本記事独自の仮定年額
月6万円で12か月貸した場合の家賃72万円
空室1か月を見込んだ減額6万円
管理費、税、保険などの仮定額18万円
修繕のため取り分ける仮定額12万円
上記を差し引いた金額36万円

初期工事が150万円なら、この仮定の36万円で回収する単純計算は約4.2年です。ただし所得税、借入返済、追加修繕等を含まない例であり、その年数で必ず投資を回収できるという意味ではありません。

家賃が下がる場合、数か月空く場合、給湯器を交換する場合も並べてください。家賃の一部を予備費として残す資金計画と、税法上その年の必要経費になる額は一致するとは限りません。

賃貸の経費と資産になる工事を分ける

贈与の合意を記録する契約書類

不動産所得は、原則として総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。貸付収入を得るため直接必要な費用のうち、家事上の支出と明確に分けられるものが対象です。自宅として使っている部分があるなら、その区分も必要になります。

建物の通常の維持管理や修理と、使用可能期間を延ばしたり価値を高めたりする資本的支出は別です。資本的支出となる部分は、一般に減価償却を通じて各年の経費へ反映します。工事名が「修繕」でも実質で判断します。

特に貸付開始前の工事では、取得時からあった不具合の改修なのか、どの資産に対する支出かなどを整理します。見積書を工事一式のままにせず、内容、施工日、供用開始予定、請求と入金を税理士へ渡してください。

親が使っていた家を相続したことは、建物の税務上の取得価額が時価へ更新される意味ではありません。減価償却の計算に使う親の取得資料も、家財整理の段階で保管しておきます。

普通借家と定期借家を今後の予定に合わせる

支払内容を確かめる領収書と計算道具

数年後に自分が住みたい場合、普通借家を2年契約にするだけでは、2年後に必ず家を返してもらえるとは限りません。貸主からの更新拒絶や解約には正当事由などが問題になります。

更新のない定期建物賃貸借を検討するなら、契約方法、契約前の説明、終了通知を管理します。所定の書面等による契約と、更新がなく期間満了で終了する旨の事前説明などが必要で、仲介業者の重要事項説明だけで当然に代わるものではありません。

契約期間が1年以上なら、原則として期間満了の1年前から6か月前までに終了の通知を行います。通知が遅れたときの効力や、借主の中途解約が認められる場合も含め、最新の様式と契約内容を不動産会社へ確認してください。

将来返してほしい時期と契約条件が合わないなら、改修費を払う前に貸し方を見直します。空き家バンクへ登録しても借主が見つかる保証はないため、募集を待つ間の支出も残ります。

募集開始前に共有者と売却時の税制も確認する

相談に持参する書類と封筒

相続した家を将来売るつもりなら、貸し出す前に税制上の選択肢を確認します。被相続人居住用家屋等の空き家特例には、相続から売却等まで事業、貸付け、居住に使われていないことなどの条件があります。

貸して家賃を得た後でも必ず最高3,000万円を控除できると見込むのは適切ではありません。特例を使えるか、使えない場合の譲渡所得、貸付期間中の収支を同じ条件で比較します。

共有で貸す場合は、契約の同意、賃料の帰属、修繕の承認、管理会社との窓口を明確にします。家賃を一人の口座へ入れることと、その人の所得になることも同じではありません。

最後に、最低限の工事見積もり、慎重に見た家賃収支、契約終了の条件、売却の手取りの4点をそろえてください。実家を残す希望を、続けられる資金計画と契約へつなぐための確認です。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

賃貸に出す前のリフォーム代は全額経費になりますか

工事の実質や貸付開始前の状況で判断します。通常の修理と資本的支出を分け、請求の内訳と供用開始日などを税理士へ示してください。

2年契約なら2年後に自分が住めますか

普通借家では期間を定めても貸主からの更新拒絶に正当事由等が問題になります。将来の利用予定に合う契約方法を募集前に確認してください。

貸した後に売って空き家の特別控除を使えますか

この特例には相続後に貸付け等に使われていないことなどの条件があります。貸付後も使えると見込まず、募集開始前に売却案との税負担を比較します。

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