相続人がいない財産の清算手続き 相続財産清算人の役割と費用

相続人がいない財産の清算手続き 相続財産清算人の役割と費用のイメージ

相続人が見つからない、または全員が相続放棄をした場合でも、財産や借金が自動的に消えるわけではありません。必要に応じて家庭裁判所へ相続財産清算人の選任を申し立て、財産の管理と支払いを進めます。

親族が独断で預金を分けたり、空き家を処分したりする前に、相続人の調査、申立人となる利害関係、必要な費用を確認してください。相続人が単に行方不明である場合とは、利用する制度が違います。

この記事でわかること
  • 相続財産清算人が必要になる場面と他の財産管理制度との違い
  • 戸籍や財産資料をそろえて選任を申し立てる流れ
  • 予納金と放棄後の保存義務で確認する範囲
目次

相続人がいないことを戸籍と放棄の状況から確認する

相続人がいないことを戸籍と放棄の状況から確認するに関する資料のイメージ

行方不明の相続人がいる場合は別の制度

相続人の存在が明らかでない状態と、相続人はいるが居場所が分からない状態は異なります。後者では不在者財産管理人などを検討し、相続人がいない前提で清算を進めることはできません。

配偶者や子がいなくても、父母や祖父母、兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合があります。身近な親族だけの認識で「相続人なし」とせず、戸籍で相続関係をたどります。

全員放棄は次順位の相続人まで確認する

子が全員放棄すると、要件を満たす次順位の親族へ相続の順番が移ることがあります。子だけの放棄をもって、相続人が一人もいなくなったとはいえません。

全員放棄として清算を検討する場合は、先順位から次順位までの相続関係と受理された放棄の状況を確認します。親族間の「何も受け取らない」という合意は、家庭裁判所の相続放棄とは別です。

相続財産清算人が財産調査と弁済を進める

相続財産清算人が財産調査と弁済を進めるに関する資料のイメージ

遺産を勝手に処分せず裁判所の管理へ移す

清算人は相続財産を代表し、預金、不動産、借金などを調べて管理します。必要な換価や支払いは法律と裁判所の監督に従って行うため、申立てた人の希望を優先して一部の債権者にだけ返済する役割ではありません。

2023年4月以後の制度では、従来の相続人不存在の場合の相続財産管理人が、相続財産清算人という名称になっています。相続人がいる場合の保存のための管理人などとは、目的と権限を分けて確認します。

清算後に特別縁故者への分与と国庫帰属を行う

選任後は相続人の捜索や債権者・受遺者に対する公告を行い、必要な弁済へ進みます。相続人を捜索する公告の期間は6か月以上で、清算全体がその期間だけで終わるという意味ではありません。

亡くなった人と生計を同じくしていたなどの特別縁故者が、裁判所への申立てにより残余財産の分与を受ける場合もあります。その手続きなどを経た後、なお残った財産が国庫に帰属します。知人や内縁の配偶者だから自動的に取得できる制度ではありません。

利害関係を示して家庭裁判所へ選任を申し立てる

利害関係を示して家庭裁判所へ選任を申し立てるに関する資料のイメージ

最後の住所地の家庭裁判所に提出する

申立人は、亡くなった人の債権者、特定遺贈の受遺者、特別縁故者などの利害関係人や検察官です。提出先は、亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所になります。

申立人にどのような法律上の関係があるかも確認されます。近所で気になるという事情だけで誰でも申し立てられると考えず、債権や財産への影響など、具体的な資料を準備します。

戸籍と財産や債権の資料をそろえる

標準的には、亡くなった人や関係親族の戸籍一式、住民票の除票または戸籍の附票、財産資料、利害関係を示す資料などが必要です。相続人がいないことを調べるため、子だけの相続より戸籍の範囲が広くなることがあります。

借金を返してほしい債権者なら契約書など、財産の分与を求める人なら関係を示す資料をそろえます。事情によって必要資料が変わるので、裁判所の最新書式と案内を使って不足を確認してください。

申立費用と予納金を分けて準備する

申立費用と予納金を分けて準備するに関する資料のイメージ

予納金の要否と金額は個別に決まる

申立ての収入印紙800円のほか、郵便料、官報公告料、戸籍等の取得費がかかります。公告料は裁判所の指示に従って納めるため、古い記事の金額をそのまま振り込まないでください。

相続財産に管理費用や清算人の報酬を賄う現預金が十分になければ、申立人が予納金を納める場合があります。金額は管理する財産や見込まれる事務によって異なり、必ず一定額で済むというものではありません。

財産不足なら立替費用が戻らない場合もある

相続財産から費用の返還を受けられる場合でも、十分な財産が形成されなければ全額が戻るとは限りません。売却しにくい土地しかない場合は、評価額があることと、費用を払える現金があることを分けて考えます。

債権回収や空き家の管理移転など、何のために選任を求めるのかを明確にし、支出と得られる結果を弁護士等に確認してから進めます。

放棄した人も占有中の財産は引渡しまで保存する

放棄した人も占有中の財産は引渡しまで保存するに関する資料のイメージ

相続放棄した人全員に、いつまでも遺産の管理が残るわけではありません。現行民法では、放棄時に相続財産を現に占有している人が、相続人または清算人へ引き渡すまで、その財産を自己の財産と同一の注意で保存する義務を負います。

鍵を持って家を管理している、手元で遺品を保管しているなど、占有と保存の必要性は個別に確認します。放棄が受理されたことだけを理由に、建物や貴重品を放置してよいとは限りません。

まず、保管中の財産一覧と写真、分かっている相続関係、放棄の受理資料をまとめてください。清算人の選任を申し立てる必要があるか、どこへ何を引き渡すべきかを、具体的な資料を基に相談できます。

清算人へ引き継ぐ財産の資料を整理する際は、預貯金や不動産の調査方法も参考になります。照会や処分にはそれぞれ必要な資格や権限があるため、相続人がいない場合は申立てと管理の担当を確認して進めます。

よくある質問

よくある質問に関する資料のイメージ

全員が相続放棄すると財産はすぐ国のものになりますか

すぐに国庫へ移るわけではありません。清算人による財産調査や弁済、特別縁故者への分与などの手続きを経て、残余財産が国庫へ帰属します。

親族なら誰でも清算人の選任を申し立てられますか

親族であることだけで一律に決まるものではありません。債権者や特別縁故者など、法律上の利害関係を示す資料が必要になります。

相続放棄すれば空き家の保存も不要ですか

放棄時に現に占有していた相続財産には、引渡しまで保存義務が残る場合があります。放棄した人全員に無条件で同じ義務が残るわけではありません。

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