贈与契約書のひな形と書き方 現金と不動産の記載例

贈与契約書のひな形と書き方 現金と不動産の記載例のイメージ

親から子へお金を渡すことは決まったけれど、契約書には何を書けばよいのか。ネットでひな形を見つけても、自分たちの贈与に合っているか判断しにくいものです。

贈与契約書は、誰が何を渡し、相手がそれを受け取ると合意したかを残す書類です。書類を作ることと、実際に財産を移して税務上の手続きを済ませることは分けて考えます。

この記事では、成年者どうしの負担のない贈与を想定した独自の記載例を示します。現金と不動産の違い、日付や押印、実行後の保管まで確認して、家族の状況に合わせて整えましょう。

この記事でわかること
  • 贈与契約書に記載する項目と現金のひな形
  • 不動産の記載例と契約前に確認する登記や費用
  • 契約日と振込記録をそろえ毎年の贈与を残す方法
目次

贈与契約書は双方の合意と財産の内容を残すために作る

贈与契約書は双方の合意と財産の内容を残すために作るに関する資料のイメージ

贈与は、渡す人の意思を受け取る人が承諾して成立する契約です。契約書の作成が一律に成立要件となるわけではなく、口頭での合意でも成立し得ます。

書面がない場合の解除と無効は違う

民法550条では、書面によらない贈与は各当事者が解除できると定めています。ただし、すでに履行が終わった部分は、この規定による解除の対象外です。「書面がないから贈与は無効」と同じ意味ではありません。

書面に残せば、後になって贈与なのか貸付けなのか、いつ渡す約束だったのかを確かめやすくなります。一方、意思能力や代理権に問題がある契約まで、署名と押印だけで有効になるものではありません。

契約書の記載と実際の資金管理を一致させる

親が子の名前の通帳を作り、子に知らせないまま預金を続けていたケースでは、名義だけで贈与が成立したと判断することはできません。誰が資金を出し、何を合意し、その後は誰が管理していたかという実態も確認されます。

契約書はその実態を説明する資料の一つです。親が子の署名まで書き、振込後も自分の預金として自由に使う状態では、書面を用意しただけで問題が解消するとは限りません。

現金の贈与契約書は金額と渡し方を具体的に記載する

現金の贈与契約書は金額と渡し方を具体的に記載するに関する資料のイメージ

現金では、贈与する金額、支払期日、振込先、手数料の負担を決めておくと、実行後の記録と照合できます。次は国内の成年者間で行う単純な金銭贈与について、当サイトが作成した一般的な記載例です。

金銭を銀行振込で渡す場合の独自ひな形

【 】の欄には実際に合意した内容を入れます。負担付贈与、死因贈与、未成年者や国外の当事者が関係する契約を想定したものではありません。

金銭贈与契約書

贈与者【氏名】を甲、受贈者【氏名】を乙として、次のとおり合意する。

第1条 甲は乙に金【金額】円を無償で贈与し、乙はこれを受諾する。

第2条 甲は【年・月・日】までに、次の乙名義の口座へ第1条の金銭を振り込む。金融機関【銀行名】、支店【支店名】、種別【普通等】、口座番号【番号】、名義【名義】。振込手数料は甲が負担する。

第3条 本契約は第1条の金銭についての合意であり、将来の継続的な給付を約束するものではない。

合意内容を確認するため同じ内容の書面を2通作成し、甲乙が各1通を保管する。

契約締結日【年・月・日】

甲 住所【住所】 氏名【本人の署名】 印
乙 住所【住所】 氏名【本人の署名】 印

第3条は、今回限りの贈与をする場合の文例です。実際には将来10年にわたり毎年支払う約束をしているのに、書類上だけ「今回限り」と書けばよいというものではありません。書面は合意した事実に合わせます。

手渡しや分割払いに変えるなら条項も変える

手渡しにする場合は、第2条を引渡日と場所がわかる内容へ変更し、受け取ったことの記録も残します。振込の文例のまま契約して手渡しにすると、記載と実行方法が一致しません。

同じ年に分割して渡すなら、各回の金額と期日を具体的にします。翌年以後も支払う契約は、単年の贈与とは税務上の判断が変わることがあります。単純なひな形へ分割の一文を足すだけで決めず、合意内容を税理士へ示して確認してください。

不動産は登記の表示と移転時期をそろえて作成する

不動産は登記の表示と移転時期をそろえて作成するに関する資料のイメージ

不動産の贈与では、日常使っている住所だけでは物件を十分に特定できないことがあります。土地は地番、建物は家屋番号など、登記事項証明書に対応する表示を使います。

土地と建物を無償で贈与する場合の独自記載例

以下は、贈与者が所有する通常の宅地と建物を、契約日に無償で贈与する場面の一般例です。実際の権利関係に合わせて専門家に調整してもらいましょう。

不動産贈与契約書

贈与者【氏名】を甲、受贈者【氏名】を乙として、次のとおり合意する。

第1条 甲は末尾表示の不動産のうち甲が所有する【全部または持分割合】を、本契約日に無償で乙へ贈与し、乙はこれを受諾する。

第2条 甲乙は、本契約日を所有権移転日として、【年・月・日】までに贈与を原因とする所有権移転登記を共同で申請するために必要な手続きを行う。

第3条 甲は【年・月・日】に本件不動産を乙へ引き渡す。登録免許税と登記申請に要する費用は【負担者】が負担する。

第4条 固定資産税等の当事者間の負担は【精算の基準日と方法】とする。この合意は、公法上の納税義務者を変更するものではない。

同じ内容の書面を2通作成し、甲乙が各1通を保管する。

契約締結日【年・月・日】
甲 住所【住所】 氏名【本人の署名】 印
乙 住所【住所】 氏名【本人の署名】 印

不動産の表示
土地:所在【 】、地番【 】、地目【 】、地積【 】㎡
建物:所在【 】、家屋番号【 】、種類【 】、構造【 】、床面積【各階ごと 】㎡

共有持分だけを贈与するなら、土地と建物それぞれの対象持分を明示します。マンションの区分所有や敷地権、農地、借地権には追加で整理する項目や手続きがあるため、この一戸建ての欄をそのまま流用しないでください。

契約を結ぶ前にローンと居住の扱いを確認する

住宅ローンや抵当権が残っている場合は、金融機関との契約条件を先に確かめます。名義変更をしただけで借入れの義務が消えたり、抵当権がなくなったりするものではありません。

贈与後も親が住み続けるなら、居住の条件や修繕費の負担も別に検討します。子へ名義を移したという理由だけで、親の住まいの権利が自動的に確保されるわけではありません。

費用は契約書の印紙だけで済みません。登録免許税、不動産取得税、贈与税や専門家の報酬を合わせて確かめます。実行前の比較は生前贈与と相続の税金や残し方の比較で整理しています。

日付と署名や印紙は契約の内容に合わせて確認する

日付と署名や印紙は契約の内容に合わせて確認するに関する資料のイメージ

本文を作り終えたら、対象財産と日付を双方で読み合わせます。合意していない条件が紛れ込んでいないか、記入欄のまま残っている部分がないかを確認してから署名します。

実際の契約日と送金日を区別する

契約を結んだ日と、約束に基づいて送金する日は同じとは限りません。契約締結日には実際に合意した日を、支払条項には実際の予定日を記載します。

後から過去の贈与を確認する書面を作る場合も、「当時作成した契約書」に見せるため作成日をさかのぼらせてはいけません。現在作成した確認書であることと、過去にどのような合意・送金があったかを分けて残し、税務上の取得時期は資料に基づいて確認します。

全て自筆や実印にしなければ成立しないわけではない

契約本文はパソコンで作成できます。紙の文例では本人の署名と押印を勧めますが、現金の贈与契約が一律に実印と印鑑証明書を要件とするわけではありません。不動産の登記では、贈与者の実印や印鑑証明書などが必要になる実務上の条件を別に確認します。

未成年者が受け取る贈与は、負担の有無や意思の理解、法定代理の必要性、利益相反などを見ます。親が贈与者と子の代理人の両欄へ署名すれば、どの契約でも済むと考えないでください。

現金と不動産では収入印紙の扱いが異なる

単純な現金の贈与契約書は、一般に印紙税の課税文書には該当しません。不動産の紙の贈与契約書は、第1号文書に該当し、対価の記載がないものとして通常1通200円の印紙税がかかります。

借入金の引受けや別の契約内容を含む場合は、単純な無償贈与の説明だけで判断しないでください。文書の内容によって区分が変わるので、国税庁の一覧表や税務署で確認します。

実行後は契約書と振込記録を同じ年ごとに保管する

実行後は契約書と振込記録を同じ年ごとに保管するに関する資料のイメージ

署名したら、契約どおりに送金や引渡し、登記を進めます。契約書だけがあり履行の記録が見つからないと、何を実行したかを後から説明しにくくなります。

契約と一緒に残す資料
贈与する財産保管する主な記録
現金契約書、振込明細、受贈者口座の入金記録
不動産契約書、登記完了資料、評価資料、取得費や費用の記録
申告をした贈与申告書控え、送信結果または提出の記録、納付記録、特例の資料

毎年の贈与と最初に決めた長期の給付を分ける

毎年その都度贈与を決めるなら、各年の合意と実行を対応させます。同じ日や同じ金額というだけで、一律に定期金の権利の贈与になるわけではありません。最初から複数年の支払いを約束していたかが問題になります。

暦年課税の110万円は、受け取る人の年間合計で考える基礎控除です。契約書1枚につき、あるいは渡す親一人につき110万円という意味ではありません。相続時精算課税や非課税の特例を使う場合は、届出や申告の要件も別に確認します。

将来の相続時にも資料を使える状態にしておく

贈与税がかからない年でも、将来の相続時に加算の対象となる贈与や、家族間で説明が必要になる贈与があります。家族が所在を確認できる範囲で、年度ごとの契約と入出金の記録を保管しましょう。

記録を残す目的は、書類を増やすことではなく、家族が同じ事実を確認できるようにすることです。保管先と対象年がわかれば、相続時の資料集めにもつながります。

ひな形を使うときは契約書と実行の記録を対応させる

父が子へ現金を振り込む場合は、契約書へ父と子の氏名、金額、期日、子の受取口座を記入し、双方がその内容に合意します。実際の振込を済ませたら、契約書と振込の記録が同じ金額・当事者になっているかを確認します。

父が銀行窓口で振り込んだことと、子が贈与を受け入れ、受け取ったお金を管理できることは別です。子が口座の存在を知らず、父が通帳や資金の使い道まで管理しているなら、契約書の署名だけで実態の問題を解消したとはいえません。

贈与契約を実行するときに照合する項目
項目確認する記録
当事者契約した人と実際の贈与者・受贈者が一致するか
対象財産金額や物件と渡した財産が一致するか
合意と履行契約日と振込・引渡しの日時を分けて記録しているか
管理受け取った本人が財産を把握し管理できるか
税務手続き年間合計と制度に照らし申告・届出を確認したか

これは通常の現金贈与を整理する例です。未成年者への贈与や、贈与者に判断能力の問題がある場合などは、合意をする人や代理の関係を先に確認します。本人ができない署名を家族が似せて書くような方法で、書式だけを整えないでください。

不動産の場合は、契約書だけで完了したと思わず、登記を担当する司法書士などへ記載内容を見せます。物件の表示、父の持分、移転の合意と引渡しの時期をそろえた上で、登記に必要な資料を用意します。現金の振込欄を不動産へ置き換えるだけでは、権利の移転を十分に整理できません。

贈与契約書でよくある質問

贈与契約書でよくある質問に関する資料のイメージ

贈与契約書は全て手書きにする必要がありますか

ありません。本文はパソコンで作成できます。双方の合意を確認し、署名等を含めて記録を残しましょう。

現金の贈与契約書に収入印紙は必要ですか

単純な現金贈与の契約書では一般に不要です。不動産の紙の贈与契約書など、内容が違う場合は別に確認します。

契約書を作れば贈与税はかかりませんか

いいえ。契約書は非課税を保証しません。受け取る人の年間合計や課税制度、申告・届出の条件で判断します。

相続対策について問い合わせる
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