相続で改製原戸籍が必要な理由 戸籍との違いと請求の仕方

取引記録を保管するファイルと資料

役所から「改製原戸籍も必要です」と言われ、今の戸籍と何が違うのか戸惑うことがあります。改製原戸籍は、様式の変更や電子化で戸籍が作り替えられる前の戸籍です。古い書類という理由だけで相続に不要になるわけではありません。

相続で必要なのは、亡くなった方の家族関係を過去へ途切れず確認することです。現在戸籍に載らない記載をどこで探すか、何を頼んで取得し、届いた後にどうつなぐかを説明します。

この記事でわかること
  • 改製原戸籍が必要になる理由と除籍との違い
  • 請求書で改製前の範囲を伝える方法
  • 取得できない場合に提出先へ確かめること
目次

現在の戸籍に昔の記載がすべて移るわけではない

家族関係を整理する戸籍と図の資料

戸籍が改製されると、改製後の戸籍にはその時点の制度に従った内容が移されます。改製前に婚姻や死亡等で除かれた人の記載などは、現在の戸籍だけでは分からないことがあります。

相続人を探すには改製前の家族関係も必要

たとえば、父の戸籍が電子化される前に、前婚の子が婚姻して別戸籍へ移っていたとします。改製後の父の戸籍にその子の記載が見当たらなくても、子がいなかったことの証明にはなりません。改製原戸籍を調べることで、改製前の記載を確認します。

その子が相続人となるかは、その後の戸籍や養子関係等も含めて確認します。名前が見つかった時点で全員が確定するのでも、今の戸籍にいないから除外できるのでもありません。

相続では、亡くなった事実の証明に加えて、ほかに相続人となる子等がいないかの確認が必要です。「死亡の記載がある戸籍一通」と「出生から死亡までの戸籍一式」が異なるのは、このためです。

改製原戸籍と除籍は古さだけで分けない

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

改製原戸籍は、戸籍の様式等を改めた前の戸籍です。「原」は改製前のものを指します。改製が一度とは限らず、昭和期の様式変更と平成期の電子化などで、同じ人について複数の改製原戸籍が必要になることがあります。

書類主な意味相続で見る点
現在戸籍現在使用されている戸籍死亡の記載や現在の身分関係
改製原戸籍様式変更等による作り替え前の戸籍改製後に移らなかった過去の記載
除籍謄本全員が除かれるなどして閉鎖された戸籍の証明以前の本籍での家族関係と移動先

一人の除籍と戸籍全体の除籍を区別する

人の欄に「除籍」と書かれていても、その人が亡くなったとは限りません。婚姻等で戸籍から除かれた場合もあります。また、一人が除かれても、ほかの在籍者がいれば戸籍全体が閉鎖されるとは限りません。

紙が縦書きで古いことだけを見て「これは全部同じ」と重複扱いにせず、表題、改製日、編製日、本籍、対象者の身分事項を確認します。同じ本籍でも、改製前後で証明する期間が違う場合があります。

請求では改製前を含む必要な期間を伝える

贈与の合意を記録する契約書類

通常の郵送請求なら、必要な戸籍を保管する本籍地の市区町村へ請求します。「相続手続きのため、被相続人〇〇の出生から死亡まで、貴市で保管する戸籍・除籍・改製原戸籍が必要」と、目的と範囲を伝えます。

改製原戸籍を一通と決めつけない

「改製原戸籍1通」とだけ請求すると、必要な別の時期の戸籍が残ることがあります。提出先が出生から死亡までを求めるなら、特定の書類名より連続した期間を満たすことを意識します。すでに持っている資料があれば、発行自治体、種類、改製日等を伝えて重複を確認します。

広域交付で取得できる改製原戸籍もありますが、コンピューター化されていない一部などは対象外です。「改製原戸籍はすべて広域交付不可」とも「どれでも最寄りの窓口で取れる」とも決めず、交付できた範囲と不足分を窓口で確かめます。

郵送では、請求者の本人確認、対象者との関係資料、手数料、返信用封筒等を指定に合わせます。一般に改製原戸籍謄本は1通750円ですが、相続全体で必要な通数は人や戸籍の移動によって変わります。

届いた戸籍は改製日と従前戸籍でつなぐ

支払内容を確かめる領収書と計算道具

取得後は、最新の戸籍から前へ順に並べます。改製の記載があれば改製原戸籍へ、転籍や婚姻等の記載があれば、その前の本籍と筆頭者の戸籍へ進みます。同じ市区町村の改製前を調べる作業と、別の本籍へ移る作業を分けると整理しやすくなります。

見つけた記載次に照合するもの
コンピューター化による改製同じ本籍の改製前の戸籍
他市から転籍記載された従前本籍の戸籍
婚姻による新戸籍の編製婚姻前にいた戸籍
養子縁組等親子関係と前後の記載を確認できる戸籍

確認表には、本籍、筆頭者、対象者が記載されている期間、次に進む手掛かりを残します。発行日順に積むだけでは、実際の身分関係の履歴を確認しにくくなるためです。出生までつながったと思ったら、途中の改製前を飛ばしていないかも見直します。

古い文字を読み違えると、別の本籍へ請求したり、実際には存在する相続人を見落としたりします。判読できない部分は不明のまま印を付け、発行自治体や登記を担当する司法書士へ原資料を示します。

同じ本籍のまま改製された仮定例

父が婚姻で戸籍を作り、その後、本籍を変えずに電子化され、現在の戸籍へ死亡が記載されたと仮定します。このとき、最後の戸籍を見て本籍が同じだから一生分だと判断すると、電子化前の記載を見落とす場合があります。

まず現在戸籍の改製日を確認し、同じ自治体に改製原戸籍があるかを調べます。改製原戸籍へ父の婚姻前の戸籍が記載されていれば、さらにその戸籍へ進みます。前の戸籍が別の市区町村にあるなら、そこへ改めて請求します。

この仮定では、現在戸籍、電子化前の改製原戸籍、婚姻前の戸籍という順に確認します。ただし実際には、転籍や別の改製が間にある場合もあります。見本の通数へ無理に合わせず、手元の記載を一つずつつなげてください。

並べた資料確認できたこと次に残る確認
現在戸籍死亡と改製後の関係改製前の記載
改製原戸籍改製前の在籍者や身分事項婚姻前などさらに古い戸籍
婚姻前の戸籍出生と親子関係等出生まで連続しているか

表紙が同じに見えても捨てずに照合する

役所から届いた戸籍は、似た氏名や本籍が何度も出てきます。重複と考えて処分する前に、編製・改製の記載、証明範囲、ページ番号を見ます。自分が二回取った同じ戸籍なのか、内容の違う前後の戸籍なのかは、外見だけでは分かりません。

手元の整理では、原本へ直接書き込まず、付せんや作業用コピー等に資料番号を付ける方法が使えます。家族関係を表したメモから、その関係が載る資料番号へ戻れるようにすれば、専門家への引継ぎでも説明しやすくなります。

改製後の戸籍に記載がない人を、前の戸籍で見つけたときは、その人の現在の状態まで確認が必要かを提出先へ尋ねます。「昔の子だから関係がない」と除外することも、「名前が載った人は全員相続人」と決めることも避けてください。

役所へ聞くときは不足の時期を示す

電話では、取得済みの戸籍の本籍、筆頭者、改製日を手元に置き、「この改製より前で父が記載された戸籍が必要」と伝えます。一般的な制度説明を求めるのか、個別の保管資料を請求するのかを分けると、必要な本人確認や請求方法の案内につながります。

他の相続手続きで既に提出した一式があるなら、原本が戻る予定と、コピーの内容を確認します。改製原戸籍を新規に取り直す前に、既存の束へ含まれていないかを調べるだけでも、重複取得を減らせます。

保存されていない場合は取れない理由を提出先へ伝える

相談に持参する書類と封筒

古い戸籍は、保存期間の経過や災害等で交付できないことがあります。その場合に何の資料で補うかは、登記、銀行、家庭裁判所等の提出先と案件によって確認します。家族の説明だけで一律に代用できると考えないでください。

役所の回答書や廃棄等を示す証明が発行されるかを尋ね、その内容と取得済みの戸籍を提出先へ示します。「どの期間のどの戸籍が取得できないか」が分かれば、次の対応を具体的に相談できます。

改製原戸籍は毎回新しい内容へ更新される書類ではありません。ただし、同じ原本を別手続きへ使えるかや、追加で現在戸籍が必要かは提出先に確認します。買い直す前に手元の資料と不足を照合することが、費用と時間の節約につながります。

手元の資料から相続の準備を整理したい方は、相続の相談窓口をご利用ください。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

改製原戸籍と現在の戸籍は内容が同じですか

同じとは限りません。改製前に婚姻や死亡等で除かれた人の記載などが、改製後の戸籍へ移らないことがあります。

改製原戸籍は広域交付で取得できますか

取得できるものもありますが、コンピューター化されていない一部などは対象外です。不足分は保管する本籍地の自治体へ確認します。

古い戸籍が廃棄されていたら手続きはできませんか

直ちにできないと決まるものではありません。交付できない理由を示す資料等を用意し、登記所や金融機関等へ代替資料を確認してください。

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