倍率方式で土地の相続税評価を調べる 評価額と倍率表の合わせ方

倍率方式で土地を評価するときは、その土地の固定資産税評価額に、相続開始年の評価倍率表にある該当倍率を掛けます。納税通知書の税額や課税標準額へ掛ける計算ではありません。
先に所在地と死亡日の地目を確認し、その土地に倍率方式を使うのかを確かめます。倍率表の記号には宅地比準等の表示もあるため、数字が見つからない土地へ他の地域の倍率を当てはめないでください。
- 死亡年・所在地・地目から該当する倍率を探す
- 固定資産税評価額に倍率を掛け持分へ対応させる
- 農地や山林など単純な倍率計算でない表示を見分ける
死亡年の評価倍率表で地域と地目を確かめる

国税庁の路線価図・評価倍率表では、年分、都道府県、市区町村を選び、対象所在地の評価方法を確認します。道路に路線価が定められている地域の土地は、基本的に路線価方式で評価し、倍率方式とは使う資料が異なります。
路線価地域の空欄と倍率地域を取り違えない
倍率表に宅地の数値がなく「路線」と示されている場合などに、隣町の1.1倍を代用してはいけません。同じ市内でも町・字や範囲によって区分が違うため、地番と表の摘要を読み合わせます。
年分は、申告書を作る年ではなく相続が始まった年です。2026年に亡くなった人の土地なら、2026年分の資料を用います。地目も登記簿の表示だけでなく死亡日の現況で確認し、宅地、田、畑等のどの欄を見るかを決めます。
使うのは固定資産税評価額で税額や課税標準額ではない

使う金額は、対象土地の固定資産税評価額です。市区町村の評価証明書や課税明細の「価格」「評価額」等の欄を見ます。住宅用地の特例等が反映された課税標準額は、評価額と同じとは限りません。
土地ごとの評価証明書を用意する
| 明細の項目 | 意味 | 倍率計算への使用 |
|---|---|---|
| 固定資産税評価額・価格 | 土地について定められた評価 | 原則としてこの金額を確認 |
| 固定資産税の課税標準額 | 税負担を計算する基礎 | 評価額の代わりに使わない |
| 税額 | 納める固定資産税等 | 資産価額の代わりに使わない |
| 地積 | 土地の面積 | 評価額へ重ねて掛けない |
複数の土地が一枚の明細に載っている場合は、地番ごとに照合します。建物の欄を拾っていないか、記載額が物件全体か持分に対応した額かも、書式が不明なら自治体へ尋ねます。
宅地の評価額に該当倍率を掛けて持分を確認する

説明用に、ある宅地の固定資産税評価額が1,000万円、その年・地域の宅地倍率が1.1とします。このときの自用地としての評価額は1,000万円×1.1=1,100万円です。面積が200㎡でも、さらに200を掛けるものではありません。
倍率の年次更新を反映する
故人がその宅地の2分の1を所有していた例なら、物件全体の評価1,100万円に持分を対応させた550万円から確認します。前年の倍率を保存している場合も、対象年分の表へ更新して照合してください。
この例は通常の自用宅地の単純な計算です。貸付けや権利関係、小規模宅地等の特例、地積規模の大きな宅地などの個別条件がある場合は、倍率を掛けただけで最終評価が決まるとは限りません。
農地や山林などの記号は地目別の方法へ分ける

倍率表の田・畑・山林等の欄には、「純」「中」「比準」など、評価区分や方法を示す記号が付く場合があります。すべての地目が、固定資産税評価額へ一つの数値を掛ける同じ方法ではありません。
宅地比準の表示を単純な倍率と読まない
たとえば農地の「比準」は、宅地としての価額や造成費等を踏まえる方法が関係します。「倍率欄に書いてあるから」と記号を無視して計算しないでください。土地の現況、地域の指定、貸付け等も評価担当へ示します。
まず死亡年分の倍率表と、地番ごとの固定資産税評価額を並べます。表のどの行・欄を使ったかまで記録しておくと、地目や地域に迷った際に、自治体や税理士へ具体的に確認できます。
関連する確認:路線価の見方 数字とアルファベットの意味や土地評価の手順。
よくある質問

固定資産税の課税標準額に倍率を掛けますか
原則として固定資産税評価額を確認します。課税標準額や税額と取り違えず、評価証明書・課税明細の欄を照合してください。
土地の面積も掛ける必要がありますか
固定資産税評価額が土地全体の価額なら、その評価額に倍率を掛けます。さらに面積を掛けて二重計算しないようにします。
田や山林も宅地と同じ倍率で計算できますか
同じとは限りません。死亡日の現況地目と該当年・地域の表を確認し、宅地比準等の記号がある場合は地目別の方法で検討します。