小規模企業共済の死亡共済金 受取人と請求・税金の確認

小規模企業共済の契約者が死亡したとき、死亡を事由とする共済金は、民法の相続分とは異なる法定の受給順位で請求者が決まります。配偶者と子がいるから、必ず2分の1ずつ受け取るという仕組みではありません。
まず契約番号と事業上の地位、死亡前に廃業等の共済事由が生じていなかったかを確認します。死亡時に発生する遺族の権利と、生前に発生していた未請求の権利では、財産の扱いが変わることがあります。
死亡を理由にした請求か生前に発生した権利かを確認する

契約書類や掛金の通知から、共済契約者番号と加入していた立場を調べます。個人事業主、共同経営者、会社等役員では、請求の区分が異なります。
契約番号と親の事業上の地位を調べる
小規模企業共済と、経営セーフティ共済などの別制度を取り違えないでください。帳簿に共済と書かれているだけでは、どの給付を受けられるかが分からないことがあります。
共済契約締結証書が見つからない場合は、機構から届いた番号の分かる書類等を探し、中小機構へ照会します。家族が口座引落しの名義だけで契約を推測しないことが大切です。
死亡前の廃業や分割受給中は別に伝える
死亡前に既に事業を廃止していた、退職していた、共済金を分割受給していたといった場合は、その日付を伝えます。死亡によって共済事由が生じた場合と、以前に発生していた権利が残る場合を分けます。
中小機構も、共済事由発生後に契約者が死亡した場合と死亡を事由とする請求では、民法上の相続との関係が異なることを案内しています。請求書を選ぶ前に発生原因を確認してください。
死亡共済金は独自の受給順位で請求者を決める

死亡を事由とする共済金は、小規模企業共済法による範囲と順位の中で最も上位の人が請求します。法定相続人が全員で遺産分割し、自由に受取人を指定するものではありません。
配偶者がいれば子と法定相続分で分けない
第1順位は配偶者で、一定の事実婚の関係も含まれます。配偶者が最上位なら、子が相続人であっても、そのことだけで共済金の請求権を配偶者と分けるわけではありません。
遺言に受取人の希望があっても、死亡共済金の法定順位を当然に変更できるものではありません。生命保険の指定受取人と同じ感覚で判断しないでください。
子や父母は生計維持関係で順位が変わる
子や父母などは、死亡当時に主として契約者の収入で生計を維持していたかによって順位が変わります。単なる同居の有無や、民法上の相続順位だけで決めないことが必要です。
同じ順位の受給権者が複数なら、共済金の受領に関する代理人を一人定める等の手続きを確認します。代表して請求することと、一人だけが全額の権利者になることを分けます。
| 順位の区分 | 対象となる親族・条件 |
|---|---|
| 第1順位 | 配偶者(一定の事実婚の関係を含む) |
| 第2〜第7順位 | 主として契約者の収入で生計を維持した子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他親族の順 |
| 第8〜第12順位 | 上記の生計維持関係がない子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順 |
| 第13・第14順位 | ひ孫、甥・姪の順 |
| 同順位が複数 | 機構案内に従い受領に関する代理人等を定める |
受給順位に応じた証明をそろえて請求する

請求者の順位が分かったら、その順位に必要な証明を準備します。まず中小機構の案内で、契約者の立場と請求事由を合わせて確認します。
戸籍や法定相続情報で関係を示す
死亡と請求者との続柄を示す戸籍等に加え、先順位者や同順位者の確認が必要になることがあります。法定相続情報一覧図を使える範囲も案内に従ってください。
生計維持関係が順位を左右する場合は、その事実を証明する資料が別に必要です。戸籍や一覧図で親族関係が分かれば、生計維持の証明も終わるわけではありません。
振込口座と本人確認と所定請求書を準備する
請求書、契約を確認できる書類、印鑑登録証明書、本人確認・番号確認の書類、振込先等を確認します。例えば印鑑登録証明書の有効期間なども、最新の手続き案内に合わせます。
必要な口座確認や書類提出の方法も機構の案内に従います。全相続人の遺産分割協議書を先に作ればよいと考えず、まず法定の請求者と所定書類を確定します。
相続放棄しても受給できる権利と税金を分ける

死亡を事由とする共済金の請求権は、法定の受給権者である遺族へ直接生じる権利とされています。そのため、相続放棄した場合も受給権者なら請求できると中小機構は案内しています。
遺族固有の請求権でも相続税の対象になり得る
民法上の遺産に属さないことと、相続税がかからないことは同じではありません。死亡共済金は、死亡退職金等に準じたみなし相続財産として、死亡後3年以内に支給が確定したものなどの課税要件に沿って相続税を確認します。
一方、生前の廃業等で既に発生していた請求権や、過納掛金等の別の明細は同じ扱いとは限りません。支払通知の内訳と共済事由の日付を税理士へ渡します。
死亡退職金の非課税枠は受取人の資格も確認する
相続人が取得する対象の死亡退職金等には、500万円×法定相続人の数の非課税限度額があります。小規模企業共済の共済金ごとに独立した同額の枠があるわけではなく、ほかの死亡退職金等との合計を確認します。
放棄した人を人数の計算に含めても、相続放棄した受取人本人にはこの非課税枠を適用できません。また、配偶者が固有の権利で受け取った後に子へ分けると、贈与の問題が生じ得るため、振り分ける前に確認します。
死亡保険金も受け取る場合は、生命保険の非課税枠と受取人の条件を別に確認します。保険金の枠と、死亡退職金等として扱う共済金の枠を同じものとして集計しないでください。
事業を継ぐ場合は請求前に承継通算も確認する

個人事業等を配偶者や子が引き継ぐ場合には、共済金を請求する前に掛金納付月数の承継通算が使えるかも確認します。受給と通算は同じ手続きではありません。
対象になる立場と配偶者や子の加入資格を調べる
承継通算には、個人事業の全部や共同経営者の地位の承継、引き継ぐ配偶者・子の加入資格等の条件があります。会社等役員の死亡でも同じ選択肢を必ず使えるわけではありません。
請求済みか未請求か、引継ぎの時期、先順位の受給権者との関係も含めて中小機構へ照会します。納付月数を引き継げば相続税が一律になくなるというものでもありません。
請求済みと未請求を分けて機構へ相談する
共済金の受給権、事業を継ぐ権利、民法上の相続人という三つの立場を区別します。事業を継ぐ子が、当然に死亡共済金も優先して受け取れるとは限りません。
最初に契約番号と死亡前の廃業等の有無を調べ、中小機構へ受給順位を確認してください。その回答を基に、請求と承継通算、税務を同じ事実関係で整理します。
よくある質問

遺言で子を受取人にすれば死亡共済金も子が受け取れますか
死亡を事由とする共済金は、法定の範囲と順位で受給者が決まります。遺言や通常の遺産分割で自由に変更するものではありません。
相続放棄しても共済金を請求できますか
死亡共済金の法定受給権者であれば、相続放棄後も請求できると中小機構は案内しています。ただし、税務上の非課税枠や死亡前に発生した別の請求権は分けて確認します。
死亡退職金と共済金にそれぞれ500万円の枠がありますか
対象の死亡退職金等として合算して非課税限度額を確認します。給付ごとに別枠があるわけではなく、相続放棄した受取人本人等は非課税の対象から外れます。