相続した土地に越境物があるとき 境界確認と覚書の進め方

相続した土地に越境物があるとき 境界確認と覚書の進め方のイメージ

相続した土地で、隣家の屋根や塀、樹木などの越境が見つかったら、まず境界を示す資料と過去の合意を探してください。

塀の位置がそのまま境界とは限らず、親が隣地所有者と覚書を交わしていることもあります。

越境しているからといって、すべてを自分で撤去できるわけではありません。

物の種類と所有者、越えている範囲を確認し、解消する方法や時期を話し合います。

この記事でわかること
  • 越境の判断に必要な境界資料と過去の覚書
  • 撤去や将来の是正を合意するときの記録事項
  • 枝の切除の条件と売却時の説明や承継
目次

越境物を見つけたら境界と過去の合意を先に確認する

越境物を見つけたら境界と過去の合意を先に確認するに関する資料のイメージ

塀の位置と土地の境界が一致するとは限らない

法務局の地図・地積測量図、境界確認書、測量図、現地の境界標を確認します。

建物や塀が境界から離れて造られている場合もあり、見た目だけで越境しているとは判断できません。

土地の区画を分ける公法上の筆界と、私人間の所有権が及ぶ範囲である所有権界は、概念が異なります。

所有権の争いがある場合と、筆界の位置を明らかにする場合では相談先や手続きも分かれます。

親が交わした覚書や測量図を探す

親の書類に、越境物を当面残すことや建替え時の撤去を約束した記録がないか調べます。過去の合意が今の所有者にどう引き継がれるかも確認が必要です。

土地や資料の所在が不明なら、親の不動産を調べる資料と照会先から確認し、相続後に見つかった図面や覚書は原本を保管します。

越境している物と所有者や範囲を記録する

越境している物と所有者や範囲を記録するに関する資料のイメージ

屋根や配管と樹木では対応するルールが異なる

越境物には、ひさし、塀、基礎、配管、室外機、枝や根などがあります。地上で見えるものだけでなく、地中の配管等が問題になることもあります。

物を特定し、誰の所有物か、どちら側へどれだけ越えているかを確認します。

写真と図面で位置と寸法を共有する

写真には撮影日を残し、図面上で対象を示します。境界が未確認なら「越境が確定している」と決めつけず、測量等で確認する事項として整理してください。

売却前なら不動産会社にも資料を示し、境界確認や調査が必要かを相談します。危険がある設備等は、通常の隣地協議とは別に安全確保の対応も必要です。

撤去や将来是正の条件を隣地所有者と話し合う

撤去や将来是正の条件を隣地所有者と話し合うに関する資料のイメージ

直ちに撤去するか建替え時に解消するかを区別する

現に利用へ支障がある、危険がある場合と、小さな越境を建替え時に解消する場合では、合意する内容が異なります。

相手と話し合い、撤去や移設が可能か、費用を誰が負担するかを決めます。

覚書では対象物と費用負担や承継を明確にする

記録する項目具体的にする内容
対象土地の表示と越境物や図面上の位置
現状の扱い当面容認する範囲と利用条件
是正の条件撤去・建替え等の時期と実施者
費用と損害撤去費用や補修等の負担
所有者が変わる場合合意の説明と承継の方法

定型の覚書を使う場合も、現況と一致しているかを確認します。

署名があれば、買主など将来の第三者へすべての内容を当然に主張できると決めつけないでください。

枝や根は民法の条件を確認して対応する

枝や根は民法の条件を確認して対応するに関する資料のイメージ

枝を自分で切れるのは催告後など一定の場合

境界を越えた枝は、原則として竹木の所有者に切除を求めます。

民法233条3項により、催告しても相当期間内に切除されない、所有者や所在を知ることができない、急迫の事情があるといった場合には、自分で切り取れる制度があります。

相当の期間や急迫性は具体的事情で判断します。枝が邪魔というだけで、連絡もせず自由に切ってよいという意味ではありません。

根が越境した場合は同条4項で自ら切り取れるとされていますが、枝と根の規律は分けて確認します。

隣地への立入りと費用は別の問題として確認する

切除できる場合でも、隣地を使用する方法、事前の通知、損害を避ける措置、費用の請求等は別に検討します。

大きな樹木や建物に近い根は、専門業者に安全面も確認してください。

売却する場合は買主への説明と合意の引継ぎを準備する

売却する場合は買主への説明と合意の引継ぎを準備するに関する資料のイメージ

越境があるだけで売却不能とは決まらない

現況や是正の見込み、覚書の内容を買主へ説明し、契約条件と引継ぎ方を相談します。

売却後に発覚すると争いになるおそれがあるため、知っている越境を資料から外さないでください。

売却費用や税の基本は相続した家を売却した場合の税金を確認し、境界調査や撤去の負担も含めた手取りを検討します。

境界の争いは土地家屋調査士や弁護士へ相談する

筆界の調査・測量等は土地家屋調査士、所有権や撤去の法的な争いは弁護士への相談が候補です。

相続登記を進める専門家にも現況を共有し、名義変更と越境の解決を同じ作業と思い込まないようにします。

まず境界資料、現況写真、過去の合意の三つを集めてください。どこが未確認か分かれば、隣地へ最初に尋ねる内容も具体的になります。

よくある質問

よくある質問に関する資料のイメージ

相続した土地の塀が境界とは限りませんか

塀と境界が一致するとは限りません。測量図や境界確認書、境界標等を確認し、位置が不明なら専門家へ相談してください。

隣の木の枝は越えていれば自由に切れますか

原則は所有者へ切除を求めます。自ら切れるのは、催告後も切除されない場合等、民法所定の条件に当たるときです。

越境の覚書があれば売却時に説明しなくてもよいですか

説明不要とはいえません。越境の現況と合意内容、将来の是正や承継について買主へ伝え、契約上の扱いを確認します。

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