配当還元方式を使える株主か 議決権と役員の判定

証券の資料を別の受取口座のフォルダーへ移すイメージ

会社株を少しだけ相続するので、配当還元方式で評価できると思っていた。同じ4%の取得でも、親族関係や役員等の条件によって結論が変わることがあります。自分の割合だけを見て計算を始めないことが大切です。

先に会社の株主集団を判定し、その後に取得者本人の位置を読みます。ここでは通常の取引相場のない株式について、通達188の四つの分類と、配当額を計算するときの注意を整理します。

この記事でわかること
  • 株主集団と取得者本人の議決権を分けて判定する
  • 5%未満でも中心的株主や役員の条件を読む
  • 50円換算と年配当の下限や評価上限を反映する
目次

自分の持株割合だけでなく同族株主の集団を判定する

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

配当還元方式は、会社を支配する立場にない一定の株主等が取得する株式について使う評価方法です。ただし、少数株主という呼び名だけで適用は決まりません。評価通達188は、同族株主がいる会社といない会社を分けています。

同族株主は、株主一人とその同族関係者の議決権合計が原則30%以上となる集団の株主等です。最大の集団が50%超の会社では、50%超の集団で判定する読替えがあります。税務上の同族関係者には親族のほか一定の会社等も含まれるため、家族という印象だけで集団を作らないでください。

株数と議決権が一致しない株式も拾う

株主名簿に加え、株式の種類と議決権の制限を確認します。無議決権株式や自己株式等の取扱いがあるため、発行済株数をそのまま議決権の分母にしないことが重要です。取得後に誰がどれだけ持つのかを、分割案と合わせて評価担当へ示しましょう。

同じ4%でも中心的同族株主と役員で結論が変わる

取引記録を保管するファイルと資料

同族株主のいる会社でも、中心的な同族株主がいる場合には、一定の少数取得者が配当還元の対象となります。本人が中心的な同族株主ではなく、取得後の議決権が5%未満で、通達上の役員等に当たらないことを合わせて確認します。

中心的な同族株主かは、その人と、配偶者・直系血族・兄弟姉妹・一親等の姻族、一定の会社を合わせて25%以上かなどで判定します。「中心人物X以外だから非中心」とは限らず、本人を起点に近い関係の議決権を集計します。

以下は、取得後にXを中心とする同族集団が80%、X自身が60%であることが確認済みという説明用の別々のケースです。各取得者の4%だけを比較するものではありません。

4%を取得した人の仮定判定の考え方
Xの子で、本人と近親者等の合計が25%以上本人も中心的な同族株主となるため、4%だけで配当還元とはしない
Xのいとこで、本人側の近親者等は25%未満、役員等でもない同族集団に入るが188(2)の各条件を満たすなら配当還元を検討
同じ非中心的な同族株主でも通達上の役員である188(2)の役員除外に該当し、原則的評価を検討

申告期限までに役員になる予定も伝える

188(2)と(4)では、課税時期の役員だけでなく、翌日から法定申告期限までに役員となる人も除かれます。役員は社長・理事長など通達が定める範囲であり、取締役という肩書だけで全員を一律に扱いません。役職・職務と就任予定を申告担当へ伝えてください。

同族株主以外と同族株主のいない会社も分ける

合意の内容を確認する契約書類

前の会社で、取得者がXの同族集団に入らない外部株主であると確認できるなら、同族株主以外の株主という188(1)の枝です。188(2)の5%や役員の条件を、この枝へ一律に追加してはいけません。

会社と取得者の区分配当還元を検討する主な条件
同族株主のいる会社で同族株主以外188(1)。同族集団外であることを確認
同族株主のいる会社で一部の同族株主188(2)。中心的株主の存在、本人非中心、5%未満、役員等除外を合わせる
同族株主のいない会社で集団15%未満188(3)。本人と同族関係者の合計から判定
同族株主なしで中心的株主がいる会社の集団15%以上188(4)。本人5%未満と役員等除外を合わせる

同族株主のいない会社の「中心的な株主」は、15%以上の株主集団の中で、単独で10%以上の議決権を持つ株主がいる場合のその株主です。先ほどの中心的な同族株主の25%判定とは別です。各条件は、自分の会社の株主名簿と親族・会社関係へ対応させてください。

配当の50円換算と原則価額による上限を反映する

税額の計算を確かめる資料と計算機

適用できると分かってから、所定の年配当金額を基に価額を計算します。年配当は1株当たりの資本金等の額を50円とした場合へ換算し、2円50銭未満又は無配なら2円50銭を使う取扱いがあります。無配だからゼロ円になる仕組みではありません。

説明用に、所定の調整を終えた50円換算後の年配当が2円50銭、実際の1株当たり資本金等が500円と仮定します。この場合は、2.5円÷10%×500円÷50円=250円です。実際に支払った配当額を、換算せずそのまま10%で割る計算とは区別します。

さらに、配当還元の算式による価額が原則的評価方式による価額を上回る場合には、原則的評価方式による価額とします。配当の計算だけで終わらせず、比較先の計算も必要かを確認してください。清算中等の特定の会社には別の評価規定があるため、会社区分の確認も先に行います。

判定表を取得者ごとに作る

兄弟が同じ会社の株を取る場合でも、各人の議決権と役員等の立場を別々に記録します。株主名簿、親族・支配会社の関係、株式種類、役職と就任予定、配当・資本の履歴を渡し、誰のどの判定からその評価額になったかを計算書で確かめましょう。

制度の基本は、非上場株式の相続税評価 方法と必要資料も参照してください。

財産や申告について相談する場合は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

取得後の議決権が5%未満なら配当還元方式ですか

割合だけでは決まりません。同族株主の集団、中心的な株主との関係、通達上の役員等の条件を、188の該当する分類に沿って判定します。

同じ会社の株を相続した兄弟でも評価方式は変わりますか

取得後の議決権や役員等の立場によっては変わる場合があります。会社の判定に加え、取得者ごとの条件を分けて確認してください。

無配当なら株式の評価額はゼロですか

ゼロとは限りません。配当還元の計算では、所定の50円換算後の年配当が2円50銭未満又は無配の場合に、2円50銭を使う取扱いがあります。

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